『アジアの環境問題と日本の責任』

宮本憲一編『アジアの環境問題と日本の責任』(かもがわ出版 1992)を読む。
日本だけでなく、韓国、マレーシア、台湾のレポートを中心に、「公害輸出」とも呼ばれる日本企業の勝手な経営戦略やアジア各国の環境政策の具体的な問題点が報告されている。特にマレーシア・ボルネオ島のサバ州とサラワク州における木材伐採は目を覆うばかりである。マレーシア政府と日本企業が一体となって、再生不可能なほどに熱帯雨林の80%が伐採され、森の中で暮らすペナン族へ迫害を強めていく様子は、映画「アバター」の世界そのままである。

近年はマレーシアからの木材輸入は減少しているが、日本は国土の67%が森林に覆われているので、まずは日本国内で官民一体となって木材の自給自足のあり方を検討するべきである。編者の宮本氏も「持続可能な発展」を目指す日本型環境モデルを提唱すべきだと述べる。