黒井千次『高く手を振る日』(新潮社 2010)を読む。
学生時代に一度だけキスをしたことのある男女が、70代になリ人生の最終局面を迎える中で、ふとしたキッカケで再び出会い、恋愛模様へと発展していく。「老いらくの恋」と言ってしまえば身も蓋もないが、自分の人生の「終着」と過去の若かりし頃への「執着」というの2つのテーマが並行して進んでいき、久々に読み応えのある作品であった。
主人公の年齢に合わせるように、ゆっくりと話が展開していく。細かいところはすっ飛ばして読む若い読者に対して、「そんなに焦って読むなよ」という作者の言葉が聞こえてきそうだ。
『高く手を振る日』
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