大島真生『公安は誰をマークしているか』(新潮新書 2011)を読む。
産経新聞記者として実際に警視庁公安部を担当した経験を踏まえ、秘密のベールに包まれている公安警察、とりわけ警視庁特別高等警察部(特高)の流れを汲む警視庁公安部に焦点を当てて、その活動を紹介している。警視庁公安部というのは、共産党、中核、革マル、市民運動、右翼、ロシア、北朝鮮、アルカイダなどの「日本国の安寧を脅かす組織」の活動を未然に防ぐための組織である。
筆者は最後に次のような言葉で締めくくる。
筆者が知る限りでは、公安警察に身を置く人たちには「誰かがやらなければ」という強い正義感を持っている人が多い。一方で、汚れ役を自任するあまり、国と国民を守るためには場合によって手段を選ばなくてもいいという独善に陥る危険性を孕んでいるようにも思う。
だからこそ、一般の国民も公安警察を知るべきなのである。ぜひ、本書をその入門書として役立てて欲しい。