内田康夫『鯨の哭く海』(祥伝社 2001)を数ページ残してほぼ読み終えた。
捕鯨で有名な港町の和歌山県太地町と、海無し県の埼玉にある山に囲まれた秩父市の2つの町で起きた連続殺人事件を、名探偵浅見光彦がばっさりと解決する推理小説である。3年前だったか、太地町を目指して那智勝浦の漁港まで車で行ったことがあり、親近感を持って読み始めた。
殺人事件の動機や背景など一本のドラマになりそうなくらいに細かく設定されていた。しかし、却ってそれらを紐解いていく浅見光彦の推理や偶然の出会いがあまりに一本調子でできすぎており、残念がら最後まで興味が続かなかった。内田康夫作品では初めての経験である。
捕鯨問題についての知識を得ることはできたが、あまりに趣向を凝らしすぎて墓穴を掘ってしまった感は否めない。
『鯨の哭く海』
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