月別アーカイブ: 2024年8月

「日本海にM7以上の活断層25ヵ所」

新潟から兵庫にかけての日本海沖に、M7以上の巨大地震を引き起こす可能性のある活断層が25ヵ所あるとの調査が報告されたと、本日の東京新聞朝刊で報じられていた。今年の1月の能登半島北岸断層帯を中心に、新潟から兵庫まで、びっしりと活断層に覆われている。

こうした日本海側の活断層も海底プレートの西進が影響している。日本は4つのプレートがぶつかる地震多発地帯である。太平洋プレートが年間2〜7センチほど、千島海溝〜日本海溝〜伊豆・小笠原海溝に沈み込んでいるのだが、その歪みが日本列島を飛び越えて、日本海沖まで影響を及ぼしているのである。

中学校の時に、「フォッサマグナ」という言葉を習ったと思う。人類誕生のはるか昔、約1,500万年前まで、東日本と西日本は繋がっていなかった。それが、海底火山からの噴出物と太平洋プレートが運んできた石灰岩が堆積して、東日本と西日本が繋がったのである。だから今でも糸魚川−静岡を西縁とする大陥没地帯が関東甲信越に広がっているのである。

パリ五輪 男子自転車ロードレース

現在、TVerでパリ五輪の男子自転車ロードレースを観戦している。まだ、半分くらいのところだが、トップ集団の選手5人の内4人がアフリカの選手である。モロッコ、モーリシャス、ウガンダ、ルワンダの4選手である。アフリカのパワーを感じる大会となっている。

ツールドフランスはステージレースなので、チームの力が強く働く。また、スポンサーサイドの影響も強いので、選手はヨーロッパに偏りがちでる。しかし、オリンピックはワンデーレースの個人戦である。しかもトップ集団の5人とも、国からは1人だけしか選出されていない全くの一人だけのレースを走っている。

日本の新城幸也も同じように日本からただ1人の選出なので、ぜひとも有終の美を飾ってほしい。

『動人物』

夏休みの読書12冊目

日高敏隆『動人物:動物の中にいる人間』(福村出版,1990)をパラパラと読む。
前半は動物性を有した人間の生態について、後半以降は動物の記憶や学習、自殺、親子関係など、動物の生態について論じられている。私は動植物の分類学と生態学が最も苦手なので、後半は読み飛ばした。前半の人間の行動原理に関する話が面白かったので、引用しておきたい。

オスは自分では子を産めない。自分の遺伝子を持った子を作りたいと思ったら、メスに産んでもらうほかはない。オスたちが必死になってメスを探し求めるのも、あらためてよく理解できる。
メスの数は限られているし、一繁殖期にオスと交尾した回数に応じて何回も子を産めるわけではなく、産む子ないし卵の数も限られている。そこでオスは、いわば自分の遺伝子のシェアを増やすためには、メスの獲得をめぐって、オスたちの間でははげしく争わなければならない。これはオスの宿命である。どれほど「平和的」にみえるおとなしそうな動物でも、少なくとも繁殖期には、オスは猛烈に闘争的になる。
こういうわけで、とにかくオスは闘争的、攻撃的である。子ども時代はべつとして、大人になったオスどうしの関係というのは、基本的には、つねにライバル以外の何物でもない。どの動物でも、無用な闘争を避けるためにいろいろな手段が採用されているけれども、えてしてそれが効力を失い、すぐ闘争に発展する。オスがメスより体が大きく、力も強い動物が多いけれども、これもひとえにこのライバル闘争のためであって、外敵から身を守るためのものではない。もし外敵から身を守るためならば、子を育てるメスのほうがそのような武力をより多く備えているべきなのだ。

上記の文章は、人間を含めた動物のオスの生態学である。さらに次のように続く。

いかなるオスも「勝たねば」ならない。さもなくば食物も、なわばりも手に入らず、したがってメスも手に入らない。そうなったら、自分のフィットネス(自分の遺伝子を残すための適応度)を高めることは不可能である。だからオスは、何としても勝つ必要があるのである。負けたときは、自分のフィットネスを高めることは断念せねばならない。
(中略)では、負けたオスはどうするのか。(中略)負けたときはそれを諦めることになる。そこで、負けたオスは、そのシーズンは諦めるのである。次のシーズンにあらためてチャレンジする。そのときもまただめなら、その次に期待する。こうしていつか目的を達することになる。

この章の最後は次の文章で締められる。人間の男のカッコよさというか、哀れさを感じてしまう。

本来フィットネスというのは、自分の遺伝子をもった子孫をどれだけ多く後代に残せるかということであった。しかし人間は遺伝子以外にも後代に残すべきものをもってしまった。すなわち、自分の「名」である。自分の「しごと」である。ドーキンスはこのようなものを、「ジーン」(遺伝子)と並ぶものとして「ミーム」(「模倣子」とでも訳すか)と呼んだ。その結果、人間のフィットネスには、遺伝子にかかわるフィットネスと、ミームにかかわるフィットネスとが存在することになった。(中略)「名」のフィットネスを重視するのは男である。だからたいていの男は、なんらかの「ライフワーク」を残したいと望む。たいていの女は、そんなつまらぬことは考えない。自分の子どもで十分であり、楽しく生きていることでもかなり満足できる。たとえそれがきわめて人間的らしくきこえる「ライフワーク」などというものであったにせよ、それを後世に残したいと願っている以上、人間の男はまったくオスそのものである。

女性についても書かれている。こちらも女性の行動を一言で片付けてしまう割り切りの良さと、悲しさを感じてしまう。

グルーミング(体表を手入れして、清潔の保とうとする行動)はある種の快さをもたらす。それはしばしば麻薬的な効果をもつことになる。女の化粧はおそらくその一つの典型であろう。
女が化粧するのは、美しくなりたいという願望のためだとよくいわれる。しかし実際には、化粧の結果それほど美しくなるわけではないから、これは化粧品メーカーのCMにすぎない。女に本音を聞いてみれば、たいていは「自己満足のためよ」と答える。おそらくこれが本当に近いのだろう。ファウンデーションをつけたり、パックしたり、おしろいを塗り、口紅をひく。これらはすべて自分の皮膚に対するセルフ・グルーミングであり、それ自体が気持ちいいのである。(中略)このもともとは気持ちよさのためになされている行為を、さまざまな効用や価値(女の闘いに勝つこと、男の気を魅くこと、そして女の身だしなみという義務感など)と結びつける宣伝、とくにもともと美人のタレントを使って効用をあおりたてるテレビのCMによって、化粧は麻薬的な作用を示しはじめ、化粧品メーカーはますます巨大化してゆく。あれはグルーミング産業である。

『化石探検』

夏休みの11冊目

福田芳生『化石探検:Part.1ストロマトライトから穿孔貝まで』(同文書院,1989)をパラパラと読む。
2分冊のうちの1分冊目で、先カンブリア時代から中世代までの海の化石が取り上げられている。先カンブリア時代を代表するストロマトライト、古生代を代表する三葉虫、中世代を代表するアンモナイトの他、写真とイラスト入りで丁寧に紹介されている。3つの化石とも地球上の海を埋め尽くしたため、示準化石と呼ばれている。ストロマトライトは酸素発生型光合成を行う藍藻類(シアノバクテリア)の棲家となった植物である。30億年前にこのストロマトライトが大繁殖して、大気中に酸素が放出されたのである。やがてオゾン層が形成されて、有害な紫外線が遮られ、地球上にいろいろな生物が住めるようになったのである。ストロマトライトの円柱は、生命活動を示すマイルストーンと言ってもよいものである。