春日部イオンで、ケルシー・マン監督『インサイド・ヘッド2』(2024,米)を観た。
字幕版が上映されていなかったので、吹き替え版を観た。時折日本語の看板やビラが映り、日本の芸能人が吹き替えを担当し、さらにエンディングもSEKAI NO OWARIの曲が流れているので、いったい洋画と邦画の区別はどこにあるのだろうと感じた。
日別アーカイブ: 2024年8月13日
『アインシュタインの就職願書』
木原武一『アインシュタインの就職願書』(新樹社,1991)をパラパラと読む。
著者が担当した『月刊リクルート』(1978年ごろから1983年)に掲載されたコラムの選り抜き集となっている。リクルート社が発行している雑誌なので、人材の選抜や能力開発、マンパワーの活用、職業の選抜などがテーマとなっている。
産業革命の頃に機械破壊運動を行なったラダイト運動が興味を引いた。ラダイトは秘密結社であり、銃やピストル、斧や槌なども使用して、各地の工場を木っ端微塵に破壊していった集団である。現在のイスラム原理主義のような団体で、機械打ち壊しというよりも、一種の市街戦を展開していった。特にランカシャーやヨークシャーなどの産業革命の中心地で、連日のように工場が襲撃された。
著者は項の最後で次のようにまとめている。特に最後の一節は、AIに仕事を奪われる現代社会を評しており、興味深い。
ラダイト運動はたしかに時代錯誤の運動にちがいなかったが、一方では、時代の波に乗りすぎた経営者にもいい反省の機会となった。暴動の再発を恐れた経営者は、機械の導入によって仕事を奪われた労働者のすべてに適当な職場をみつけることを決議しているのである。
ところで、ロボットが人間の仕事を奪うという見方は、19世紀のラダイトと同じ発想といっていいが、ロボットを工場から追い出すといった19世紀的なラダイト運動はもはや起こらないだろう。これから新たなラダイト運動が起こるとしたら、知識や情報の分野においてであろうと思われる。たとえば、自動翻訳機などが開発されたら、翻訳家や外国語の教師は飯の食い上げである。産業革命期の熟練手工業者にかわって、世紀末の知的労働者がラダイトになる可能性は大いにある。