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『歴史の古い都市群1』

夏休みの14冊目

藤岡謙二郎『歴史の古い都市群1:東京とその周辺の都市』(大明堂,1984)をパラパラと読む。
地理学の専門書で、分野としては歴史地理学の分野になるのであろう。執筆者も地理学だけでなく、歴史学の専門家も名前を連ねている。主に江戸時代以降の地形や鉄道や運河などの交通網の開発などから、東京、横浜だけでなく、鎌倉、府中、石岡、川越、銚子、関宿・境、水戸、前橋などの都市の発展が論じられている。

昭和の初期までは、水戸や前橋、高崎、行田、佐倉など、江戸時代の頃の城下町や宿場町が発展したが、高度経済成長以後、那珂湊や佐原、木更津、龍ヶ崎、桐生など、高速道路のインター近くやや鉄道の駅が増えてくる。

かつては隅田川で大学のボートレースが行われていたが、1960年代から隅田川の汚染がひどく、大学クルーの漕艇場は次々と戸田へ引っ越して行った。それが復活したのが、1978年の早慶対抗戦からであった。

現在はダウン・タウンというような意味で、「山の手・下町」とが対立的に考えられているが、江戸以来の「山の手」に対する「下町」は、千代田の城の下に広がっていた、誇り高き「城下」の町を指していったものであった。