久保博司『歌舞伎町裏街道』(幻冬社アウトロー文庫,2010)をパラパラと読む。
今はトー横と呼ばれているコマ劇前を中心とした歌舞伎町で暗躍する暴力団や中国マフィア、ぼったくりバー、コリアンタウン、地下カジノなどの実態にせまる。
出版の都合があったのだろうか、舞台は1997年の新宿であある。中国が大きく経済成長する前であり、まだ一人っ子政策が続いていた頃である。そのため、改革・開放政策にともなって、農村から都会に出稼ぎに来た「民工」のうち仕事にあぶれた者は「流氓」と呼ばれ、戸籍のない者も多く含まれていた。当時は円高だったので、香港マフィアによって日本に出稼ぎにくる流氓が跡を絶たなかった頃の話である。
ちなみに、中国マフィアは清朝に抵抗する漢民族の政治結社「三合会」の流れを汲むという。