小松太郎『教育で平和をつくる:国際教育協力のしごと』(岩波書店,2006)をパラパラと読む、
上智大学で国際教育開発を研究している小松太郎は、コソボ共和国でのユネスコ教育行政官の経験から、人権教育は一人一人が持っている人権にフォーカスしなければならないと述べる。安易な民族教育や宗教教育は、逆に排他的な民族意識や宗教意識を高めるに過ぎず、多民族国家で内戦を経験したコソボでは危険な右派教育になってしまう。NGO「コソボ人権センター」で開発された教育プログラムに多数の社会科の教員が加わり、人権の主体が個人であるという考え方に基づく平和教育が社会科教員に求められると説明する。
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『氷河の科学』
若浜五郎『氷河の科学』(NHKブックス,1978)をパラパラと読む。
著者は1927年生まれで、東京大学理学部物理学科を卒業され、その後、北海道大学の教授を務めた、雪氷学を専攻する研究者である。出版時の1970年代後半は温暖化よりも寒冷化の方を懸念していたというのが印象に残った。
あとは、物理学の観点からの説明なので、数式が続くので読み飛ばした。
「命守る避難計画を」
本日の東京新聞朝刊に、「脱原発をめざす首長会議」が「何かがあった時に全面的に責任を取らなければならないのは基礎自治体の首長だ」との考えから、「確実に命と生活を守れる現実的な避難計画がない限り、原発を稼働させてはならない」とする決議を採択したとの記事が掲載されていた。
確かにその通りである。地理総合の授業でも防災教育として、避難経路を考えるという項目がある。高台や尾根線を通って、シェルターや津波タワーに逃げ込むまでのルートを考えるのだが、そもそも原発に破損が生じた場合は、シェルターなど何の意味もない。そもそも究極の防災教育の答えは原発を即時廃止することである。
ただし、原発反対とだけお題目で言っても仕方ないので、授業の中で、天然ガスの高効率燃焼や最新の再生可能エネルギー事情に触れていきたい。
『恐るべき酸性雨』
谷山鉄郎『恐るべき酸性雨:水と緑を破壊する複合汚染』(合同出版,1989)を読む。
酸性雨は、人体への影響や農作物被害、森林破壊など、人間の身体だけでなく人間の暮らしを破壊するものであるということが、大気循環の仕組みから実例や数字を交えて分かりやすく説明されている。
著者は三重大学で長らく作物学・環境科学を専門とされてきた学者であり、特に地元の四日市公害問題で大気汚染が作物に及ぼす影響について研究していた。
本書の最後で次のように述べ、公害防止の技術に期待を寄せている。
人間が作った公害です。人間の技術で完全に防止することができます。
「奈良の風土ワインで表現」
本日の東京新聞夕刊に、およそブドウの生育環境にそぐわない奈良盆地でブドウ栽培、ワインの製造が行われているという記事が掲載されていた。ブドウは夏に乾燥する地中海性気候がよいとされている。ブドウ自身が乾燥から身を守るために、たっぷりと実に水分を蓄えるからだ。地中海性気候は地中海周辺のスペイン、フランス、イタリア、トルコだけでなく、南アフリカやオーストラリア、チリ、アメリカ西海岸など、世界各地に見られる。そうした地域でワインの生産量が多い。日本では降水量が少ない内陸の山梨県で第1位、長野県で第2位の生産量となっている。
記事にある奈良は内陸ではあるが、海が近く、夏の降水量も多い。記事にも湿気を嫌うブドウの栽培は簡単ではないとある。そのため、収穫量こそ少ないが、そのぶん酸味が穏やかな味わい深いブドウが収穫されるという。
品種改良や灌漑によって変わりつつあるが、農業は気候と大きな関係がある。地理総合の授業の中で、そうした点について突き詰めていきたい。