小松太郎『教育で平和をつくる:国際教育協力のしごと』(岩波書店,2006)をパラパラと読む、
上智大学で国際教育開発を研究している小松太郎は、コソボ共和国でのユネスコ教育行政官の経験から、人権教育は一人一人が持っている人権にフォーカスしなければならないと述べる。安易な民族教育や宗教教育は、逆に排他的な民族意識や宗教意識を高めるに過ぎず、多民族国家で内戦を経験したコソボでは危険な右派教育になってしまう。NGO「コソボ人権センター」で開発された教育プログラムに多数の社会科の教員が加わり、人権の主体が個人であるという考え方に基づく平和教育が社会科教員に求められると説明する。