江戸川乱歩『鉄塔王国の恐怖』(ポプラ社 1970)を読む。
虎やら豹やら光る人間など様々なゲテモノが登場するシリーズであるが、今回はカブトムシである。カブトムシが街中に現れ、東京中が恐怖に陥る。しかし正体を調べると中に人間が入っていたといういつものパターン。一体カブトムシの動きをどのように演じていたのであろうか。
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『白い羽根の謎』
江戸川乱歩『白い羽根の謎』(ポプラ社 1972)を卒読する。
怪人二十面相が登場しない本格ミステリーなのだが、犯人の婦人の机から犯罪を詳細に記した日記が見つかるというオチであった。
『空白』
松本哲也『空白』(幻冬社 2004)をパラパラと読む。
児童養護施設で育ち、シンナーやら暴走族、極道の世界に踏み込みつつ、音楽を支えにしてきた著者が自身の半生を語る。音楽CDシングルも付録されている。再生できる機器がなかったので、Youtubeで聞いてみた。パソコンで聞くよりも実際に生で聞いてみたい曲だった。
『怪奇四十面相』
江戸川乱歩『怪奇四十面相』(ポプラ社 1964)をパラパラと読む。
今は使われなくなった言葉「さるぐつわ」「手旗信号」が登場した。犯人の四十面相が小林少年すら気がつかないほど巧みに明智小五郎に変装する場面が登場するが、そんなトリックまで登場したら、ミステリー要素は微塵もなくなってしまう。
『教育』
遠野遥『教育』(河出書房新社 2022)を読む。
著者は2020年にデビュー2作目の『破局』で第163回芥川龍之介賞を受賞した新進気鋭の若手作家である。今作は3作目にあたり、第43回野間文芸新人賞候補作となっている。
受賞歴は華やかだが、世間から隔離されたおかしな教育方針や倫理観に支配されている学校を描いた今作はつまらなかった。映画化もされた『冷静と情熱のあいだ』で知られる辻仁成の初期作に似ている。語り手である「私」の正体が不明なまま、よく分からない物語が並行して進んでいく。コロナで隔絶された世界のメタファーなのか。