小谷野敦『もてない男』(ちくま新書 1999)をパラパラと読む。
検索してみたところ、20年前に一度読んだことのある本であった。章立ても「童貞論」「自慰論」「恋愛論」「嫉妬・孤独論」「愛人論」「強姦・誘惑論」「反恋愛論」と目を引くタイトルが並び、ついつい手に取ってしまった。
さらっとまとめると、これまでのフェミニズムが問題にしてきた結婚制度や家族制度などは、モテる男女の立場によるものであると断じる。また、源氏物語や夏目漱石、田山花袋、二葉亭四迷、森鴎外などの文学作品を取り上げ、その中に隠された自慰シーンや強姦の場面など分析を加えている。
日別アーカイブ: 2022年7月18日
「北マケドニアがEU加盟交渉へ」
本日の東京新聞朝刊に、北マケドニアの記事が掲載されていた。旧ユーゴスラヴィアのスラブ人の国であり、埼玉県(733万人 2022年4月現在)の人口の3分の1の208万人の小さな国である。
1991年に旧ユーゴから独立した際はマケドニアという国名であったのだが、マケドニアは元々ギリシアを意味する言葉なので、ギリシアが猛反発したため、2019年に「北マケドニア」に国名を変更している。
さてEU加盟交渉が始まるとのことだが、すんなりとはいかないであろう。北マケドニアの一人あたりのGNIは約5,720ドル(2020年)である。隣国ブルガリアの一人当たりGNIが9,630ドル(2020年)なので、半分ほどである。
授業の中で扱ったが、高い賃金を求めて、一人当たりのGNIが低い国から高い国へと出稼ぎの労働者が転入する。一方で、安い人件費を求めて、一人当たりのGNIが高い国から低い国へ工場が転出していく。旧東欧諸国よりも格段に安い労働力が確保できるので、もしEUに加盟したらドイツやフランスの工場が進出してくることだろう。国内の産業の空洞化が一層進んでしまうので、交渉反対の声が強くなるであろう。
『みんな地球に生きる人 Part2』
アグネス・チャン『みんな地球に生きる人 Part2』(岩波ジュニア新書 1996)を読む。
ベトナム・ホーチミンで枯葉剤の影響による奇形児との対面やカンボジアでのクメール・ルージュによる過激派による国家の破壊で傷を負った子供たちとの出会い、フィリピンやネパールで力強く生きていく子供たちとの触れ合いが丁寧に綴られている。実際に訪れ、言葉を交わした経験が描かれているので説得力がある。