本日の東京新聞朝刊に、南欧スペインで最高気温が45度を超えて、山火事が頻発しているとの報道があった。地理の先生っぽく解説を加えてみたい。ちょうど1学期の期末考査で出題したとこである。
地中海周辺は夏に亜熱帯高圧帯が北上してきて高圧帯に覆われるCs気候区分に位置する。スペイン内陸の首都マドリードの雨温図を見ると分かるが、夏になると、ひと月の降水量が10mm程度にまで低下する。埼玉の1月の降水量が50mmほどなので、その少なさが何となく理解できるであろう。そのため、地中海周辺では夏に、皮の厚いオリーブやレモン、オレンジ、もしくは水分をたっぷりと蓄えたブドウやトマトが生産されている。
ちなみに、マドリードは7・8月の平均気温が22度を超えるため、大学レベルのケッペンの気候区分では、最暖月22度以上のaを加えて、Csaと表記される。
一方の日本だが、先日7月12日夕方から13日未明にかけ、埼玉県内では猛烈な雨が降った。埼玉県・鳩山町では、12日午後10時半までの6時間の降水量が観測史上1位となる360ミリに達っした。これは平年の7月1か月間に降る雨の2倍以上にあたり、 川が増水し、車が流されたり、家屋が床上浸水する被害も出た。特殊な事例だが、スペインの年間降水量が400mmを超える程度なので、ほぼ半日でスペインの1年分の降水量を記録したことになる。
こうした地中海性気候は北緯・南緯40度付近で、偏西風の影響を受ける大陸の西側のみに位置する気候区分である。地中海周辺だけでなく、北米大陸の西側やアフリカ大陸南端、オーストラリア大陸南西部、南米大陸の南緯30-40°付近にもある。