綾辻行人『殺人鬼』(角川文庫 1996)を一気に読む。
1990年に刊行された本の文庫化である。文庫本の裏表紙に、スプラッターホラーと紹介されていた。スプラッター小説そのもので、腕が引きちぎられる際の恐怖の心理や、目玉に錐が突き立てられる狂気を余す所なく描かれていた。最後はミステリー仕立てであったが、中盤までの殺人描写はあまりに生々しく、好みの分かれる所だろう。
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『メイド イン 東南アジア』
塩沢美代子『メイド イン 東南アジア』(岩波ジュニア新書 1983)を読む。
1980年代の東南アジアの新興工業国の工場で働く女性と、細井和喜蔵が『女工哀史』で描いた1920年代の紡績工場で働く日本女性を並べながら、女性を取り巻く労働環境について分かりやすく説明している。ユニクロの海外工場の実態などを耳にするに、40年経った今でも東南アジアや南アジアの工場労働の環境は改善されていないのかもしれない。
『日本読書株式会社』
本の雑誌編集部編『日本読書株式会社』(本の雑誌社 2001)をパラパラと読む。
「かくかくしかじかな状況や心境に沿った本はありますか」という質問に、本の雑誌社の編集部員が選りすぐりの一冊を進めるという、一問一答型式で構成されている。あえて一冊の本にまとめる意味がどこにあるのか。