長田弘詩集『世界は一冊の本』(晶文社 1994)を読む。
「本を読もう。/もっと本を読もう。/もっともっと本を読もう。」の書き出しで始まる表題作の他、30編あまりが収められている。
家族や戦争、歴史上の人物をモチーフに、生きる、死ぬということがストレートに綴られている。有名な「本を読もう…」の詩も、読書の指南ではなく、どんどん世界を知って考えていくことが生きることなのだという作者のメッセージが込められている。他に気になった詩を引用してみたい。
原因があって結果がある
というのは真実ではない。
事実は違う。はじめに結果がある。
それから、気づかなかった
原因にはじめて気づく。ものごとの事実に対し
ものごとの真実は、
いつでも一歩遅れている。