川本三郎編『こどもたちはまだ遠くにいる』(筑摩書房 1993)を見る。
編者の解説によれば、世界中の子どもたちの一人で遊ぶ姿を撮った写真集ということらしい。しかし、編者が写した写真は1枚もなく、ただ哀しい目をした子どもの写真を集めて強引に意味づけをしたものに過ぎない。
日別アーカイブ: 2021年3月28日
『地震・プレート・陸と海』
深尾良夫『地震・プレート・陸と海:地学入門』(岩波ジュニア新書 1985)を読み返す。
確か、数年前に読んで感銘を受けた本である。「個体地球科学」という観点から大陸や海を定義し、地球が動く仕組みについて分かりやすく解説している。地球表面を、地殻とマントルという旧来の分類ではなく、空気や海水によって冷やされた固まったリソスフェアと地球内部から湧き出した流動性のあるアセノスフェアに分け、浮力や摩擦、弾性といった高校の物理基礎の知識でも分かるように説明している。
特に、インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突して形成されたヒマラヤ山脈の解説が興味をひいた。狭まる境界の仕組みからガンジス低地やチベット高原の形成過程が説明されている。
また、日を置いて読み返したいと思う本であった。
『最新科学の常識』
星野芳郎『最新科学の常識』(岩波ジュニア新書 1982)をさらっと読む。
「最新」といっても、40年近く前の本である。当時話題だったリニアモーターカーやスペースシャトル、産業用ロボット、超LSIなど、先端科学技術について高校の物理や科学の知識を使って丁寧な解説が施されている。
読みながら、1985年に開催された筑波万博の展示館の模様を思い出した。
『殺人鬼』
綾辻行人『殺人鬼』(角川文庫 1996)を一気に読む。
1990年に刊行された本の文庫化である。文庫本の裏表紙に、スプラッターホラーと紹介されていた。スプラッター小説そのもので、腕が引きちぎられる際の恐怖の心理や、目玉に錐が突き立てられる狂気を余す所なく描かれていた。最後はミステリー仕立てであったが、中盤までの殺人描写はあまりに生々しく、好みの分かれる所だろう。