本日の東京新聞朝刊国際面に、南シナ海での米中の緊張が報じられていた。
記事によると、ベトナム沖の西沙諸島や、フィリピンやマレーシアなどが領有を主張している南沙諸島周辺で、中国軍が軍事演習や偵察活動を活発化させている。一方、中国軍の活動に現実的に対応できるのは米軍しかいないので、台湾などは米軍と歩調を合わせ、東沙諸島で駐留部隊の増強を図っている。
地理の授業で扱ったが、中国は習近平体制以後、「一帯一路」経済圏構想に基づき、中央アジアやインド洋での貿易をより活発化、安定化させていくために、周辺での軍事圧力を強化している。つまり、国家が貿易を支援するということは、軍事的な圧力を行使するということである。
世界史の授業でイギリス東インド会社やオランダ東インド会社を扱ったが、これらは純粋な貿易の企業ではない。軍隊が出動し、アジア一帯を制圧し、航路の安全を確保した後に、進出していって、中継貿易や三角貿易に乗り出していく会社である。その後の南アジア、東アジアがどのような悲哀を味わったのか、2学期以降の世界史の授業で追ってみたい。現在の中国が「軍事+貿易」という構想を手放さない限り、今度はアフリカ諸国が同じような歴史を辿っていくのかもしれない。