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「ガラパゴス沖に中国漁船団」

本日の東京新聞朝刊より。
南米エクアドルのガラパゴス沖の排他的経済水域(EEZ)付近で、大量の中国漁船団が操業を繰り返しており、周辺国が警戒を強めているとの記事が掲載されていた。

教科書15ページから少し解説を加えておきたい。海岸線から12海里(約22.2km)は、その国の「領海」といい、「領土」と同じく、他国の船が勝手に侵入することも通過することもできない。また、領海の外側で海岸線から200海里(約370km)は「排他的経済水域」といい、沿岸国が排他的に水産・海底資源を独占することができる水域となっている。他国の漁船が許可なしに操業することは許されていない。

但し、EEZは領海ではないので、他国の船が域内を航行したり、海底ケーブルを敷設したりすることは自由である。この点の判断が難しく、EEZ内で漁船が網を垂らしていたら違法だが、魚や資源を積んで通過することは全くお咎めなしになってしまう。つまり、限りなく黒に近い漁船でも、現行犯でしか逮捕できず、水域が広いほど、監視体制が甘くなり、言い逃れされてしまうのである。

エクアドルの主要紙コルメシオの社説にある「財源や船舶、人材はつつましいと認めざるを得ない」とのコメントは、まさにEEZの扱いの難しさを指摘している。

 

教科書16ページに日本の排他的経済水域の地図が掲載されているので確認してほしい。日本の最南端の沖ノ鳥島や最西端の南鳥島は、本土から遠く離れており、そのEEZ全域を警備することは難しい。その間隙を魚介類満載の中国漁船が航行している姿が確認されているのだが、逮捕までは至っていない。そんなイタチごっこが繰り返されている。皆さんはどう感じますか。

『ホテルローヤル』

第149回直木賞受賞作、桜木紫乃『ホテルローヤル』(集英社 2013)を読む。
釧路の片田舎にあるホテルローヤルを巡る群像劇である。何が面白いという訳ではないが、夜の性愛を覆い隠そうとしても隠しきれない昼の日常生活の脆さを描き出す。