夏期講習で,一人あたりのGNIを尋ねる問題において,「中東最貧国」と失礼な紹介をしたイエメンに関する記事が掲載されていた。
記事を読んでも,内戦の勢力図はよく分からない。但し,国連が「世界最悪の人道危機」と表現するように,国民の3人に1人にあたる約1千万人が飢えに苦しんでいるというのは看過できない情勢である。1990年の南北統一後も続く確執に加え,サウジアラビアのスンニ派とイランのシーア派との宗教戦争,さらには紅海に面した地政学的な大国の対立もあり,「紛争のデパート」のような状態になっている。
日本のタンカーも年間2000隻近くがイエメンに面したスエズ運河−紅海を通行しており,日本政府も自衛隊派遣を検討している。ここまで事態が複雑化したイエメンについては,「有志連合」なる英米主導の軍事連合ではなく,国連安保理の枠組みの中で議論し,日本も何らかのアクションをすべきなのであろう。