石田ゆうすけ『行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅』(幻冬社文庫 2007)を何日か掛けて読む。
1995年夏から2002年末まで、7年半かけて北米大陸から南米大陸、ヨーロッパ、アフリカ、中東、アジアを自転車で駆け巡った旅日記である。
自転車ならではの旅の醍醐味を期待して読み始めた。しかし、あまりに時間と距離のスケールが大きすぎて、小回りが利いて自分の足で一歩一歩距離を縮めていくという自転車ならではの感覚を味わうことができなかった。また、世界某所での危険な体験や心温まるエピソードなども、あたかも拵えたかのようにでき過ぎており、かえって一作品として印象が薄いものとなってしまっている。
度肝を抜くような体験談ばかりだったので、わざわざ文字で他者に伝えようなんて考えず、作者自身の心の原風景の中に留めておいたほうがよかったのでは。
『行かずに死ねるか』
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