穂花『小悪魔セックス』(ベスト新書 2009)を読む。
元AV女優の穂花さんが、AVでの経験、女性としての体験を生かして、男性を母性で包み込みその気にさせる小悪魔セックスのあり方に始まり、ボディタッチのやり方、前戯のさじ加減、挿入のテクニック、体位を変える際の「間」など、大変細かいディテールまで踏み込んで丁寧に書かれている。男性女性双方に向けて書かれており、お互いがお互いを悦ばせる穂花さんのスタンスが貫かれている。
40過ぎたおっさんには、あまり必要無い話が多かったが、男女のセックス観の違いがよく分かった。
あとがきの中で、著者は次のように述べる。ゴーストの手にしても、なかなか現代社会批評ともなっている奥が深い名文だと思う。
いまの世の中、男の人は大変だと思います。
セックス以外のことでも、常に「勝ち」を求められています。
仕事でも学校でも、私生活でも、勝たなければいけない。
負ければ、どんどん社会の隅に追いやられていきます。
モテる男の人と、モテない男の人がくっきり分かれているのも、こうした格差が原因だと思います。
そして、女の子は女の子で、満足させてもらうのは当たり前みたいな考えを持っていて、満たしてくれなければ、何もかも男の人のせいにしている気がします。
これでは、二人で愉しむセックスなんてできません。
(中略)ちょっとだけでもいいので、試してみてください。女の子が責めること=優しくなることで、男の人もありのままの自分を出せると思うのです。そしたら、お互いに自信が持てるようになるはずです。
小悪魔は悪い女だけど、アゲマンだとも私は思っています。
責められる悦びを覚えた男の人は、反対に「男」を取り戻すのです。
母性的でエッチな「小悪魔」の虜になることで、その女の子を守るために頑張って困難に立ち向かう、といった姿勢が生まれてくるのです。
それはきっと、人生そのものを生き抜く力にもなるはずです。
大げさかもしれないけど、本当にそう思うのです。