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『調べてみよう エネルギーのいま・未来』

槌屋治紀『調べてみよう エネルギーのいま・未来』(岩波ジュニア新書 2003)を読む。
エネルギーの定義に始まり、資源と環境や、太陽エネルギーの有効性、自動車のエネルギー効率など、エネルギー全般について解説を加え、持続可能な社会のあり方に向けて、具体的な技術開発の提案やライフスタイルの改善の必要性を訴える。

技術研究を専門としている著者なので、環境保全の徹底や極端な生活の見直しといった「文系」的なアプローチではなく、燃料電池車やコジェネレーション、モーターのインバーター制御などのエネルギー変換効率の高い技術の開発と、その技術への移行、普及といった「理系」的なアプローチに主眼を置く。また、原子力発電には否定的であり、太陽光発電や中・小規模水力発電、バイオマス発電、風力発電などを普及させていくための技術向上と政策的後押しが必要であると結論づける。

著者は望ましいエネルギー政策として以下の3つのポイントを挙げている。

  1. エネルギー効率の向上
    エネルギー利用効率を上げることは、コスト性能比が大であり、短期間で実現できる。一度実現されたエネルギー効率の向上は、以後有効にはたらき、長期的にひじょうに有利になる。
  2. 再生可能エネルギーの開発
    化石燃料から、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーのような永続的なエネルギーの利用へ転換していく。
  3. 移行期には天然ガス
    再生可能エネルギーが広く利用可能になるまでは、天然ガスのような環境への負荷の小さいエネルギー源を効率よく利用する。