日別アーカイブ: 2015年2月16日

〈集会等お知らせ〉

★◎東京都歴史教育者協議会 研究集会(2/22)のお誘い♪
  第2次世界大戦・アジア太平洋戦争終結70年、この70年間に何が出来、何が出来なかったの
 でしょうか。アジアを歩き、アジアの視点で考えてきた内海愛子さんから「アジアから見る日本
 ―『戦後』70年と私たち」というテーマでお話していただき、ご一緒に考えてみませんか。
 午後は分科会にわかれ、社会科授業や取り組みの報告と検討の会です。どなたでも
 参加いただけます。ぜひ、御参加下さい。

 ◎講 演:内海愛子さん(恵泉女学園大名誉教授)  「アジアから見る日本―『戦後』70年と私たち」
 ◎日 時:2015年2月22日(日)10:00~16:30(9:30開場)
  ①講演(10:10~12:00 講演と質疑応答)
  ②分科会(13:00~16:00 会員による実践報告)
 ◎会 場:筑波大学附属駒場中・高等学校 京王井の頭線駒場東大前西口下車7分
  東急田園都市線池尻大橋北口下車10分 渋谷より東急バス(渋51,渋52 駒場下車1分)
 ◎資料代:会員500円/学生会員無料/一般800円/学生500円
 【中学校分科会の報告】
  ・「戦中・戦後体験の聞き取りをどう授業に活かすか?」
  ・「日本地理から政治学習へ」
 【平和と人権分科会の報告】
  ・「夜間中学および自主夜間中学の現状と、義務教育拡充法案成立のための国会院内集会に
    関する報告」
  ・「特別授業『3・11』から3年」
 【戦争と戦後を考える分科会の報告】
  ・「シベリア抑留と戦後補償問題」
  ・「日本軍の侵略の傷跡を訪ねて―マレーシア・シンガポールでの掘り起こし・交流・和解」
 詳しくは以下のホームページをご覧下さい。お待ちしています。
 東京都歴史教育者協議会http://tokyo-rekkyo.jimdo.com/

『福祉を変える経営』

小倉昌男『福祉を変える経営:障害者の月給一万円からの脱出』(日経BP 2003)を読む。
10年ぐらい前、社会福祉士の試験を受けた時に購入し、ずっと本棚に眠っていた本である。

著者の小倉氏は「クロネコヤマトの宅急便」の開発で当時の運輸省や郵政省と闘った経験から「規制撤廃」の実行者として知られている。小倉氏は、1996年に会長を退任した後、私財を投じて立ち上げたヤマト福祉財団の理事長に専念し、無報酬で障害者の自立支援にあたってきた。残念ながらこの本が刊行された2年後に亡くなってしまったのだが、商売を成功に導くことで、障害者の地位や賃金を向上させ、引いては福祉全般を資本主義のルールで支えていこうという著者の思いがよく伝わって来る内容であった。

書き下ろしではなく、障害者施設の関係者向けのセミナーのレジュメを活字化したもので、同じような内容の言い回しが重複するところが散見されるが、具体的な事例の紹介であったので、すーっと読むことができた。

著者は、福祉のバザーでしか売れないような小物を作って、障害者の「居場所」を確保するだけの共同作業所や、「福祉的就労」と称して、障害者の能力を下に見て新聞の折り込みやボルト打ち付けなどの下請けの仕事しか扱わない施設のあり方に疑問をぶつける。

——いま、障害者に必要なのは、社会に出て健常者と肩を並べて仕事をし、自立できるだけの給料をとる仕組みをつくることではないか。それが真のノーマライゼーションだろう。ならばその手始めとして、障害者が集う共同作業所を改めて「仕事の場」と位置づけ、ちゃんとおカネが稼げるところにすべきではないだろうか。作業所の実態が、障害者のデイケアが目的、というのはいくらなんでもおかしい——。

今まで当たり前と思っていた現実を「自分の感覚」で捉え直し、ストレートに怒りをぶつけていくという小倉氏の姿勢は、経営者という枠組みに留まらず、どんな時代や分野、立場においても大切にしていきたいと思う。