本日の東京新聞は全面にわたって「ピケティ尽くし」だった。2面ブチ抜きのピケティ教授への単独インタビュー記事だけでなく、書評面でも著書『21世紀の資本』が紹介され、佐々木毅東大名誉教授のコラムでも社説でもアベノミクス批判の論拠として大々的に取り上げられていた。
新聞記事の受け売りなのだが、ピケティ教授は、「富める者が富めば、恩恵がしたたり落ち、全体が底上げされる」という新自由主義を真っ向から否定し、格差が行き過ぎると成長を阻害されるという点を、世界20カ国の財務情報とここ100年ほどの歴史から丁寧に分析しているとのこと。格差拡大の主要因は資本蓄積の増大と経済成長率の低下であり、この2つの傾向が続けば富は上位者に一層累積してしまう。その是正策として、ピケティ教授はあらゆる資本に対して累進的な税を課すべきだと述べる。固定資産税の仕組みを拡張して、株や普通預金などのあらゆる資本に課税の枠を広げ、さらに国際的な資金移動を透明化し、tax havenの規制を含めた「グローバル累進資本税」を提案している。
市場経済のルールを民主的に制御すべきだというピケティ教授の主張は、一見共産主義に近いものを感じるが、ピケティ教授のスタンスはあくまで資本主義にあり、公共の範囲内における格差を容認している点がマルクスの考えとは異なる。
また、格差が広がるとナショナリズムが台頭してくるというピケティの教授の主張は全くもって正しい認識である。資本の格差だけでなく、もっと身近な皮膚感覚に近い生活格差や社会格差にも注目していきたい。
偉そうに書き連ねたが、700ページと聞くだけで尻込みしてしまう。