村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』(新潮社 2000)を読む。
阪神大震災に纏わる連作の短編小説集である。表題作の他、雑誌「新潮」に連載された『UFOが釧路に降りる』『アイロンのある風景』『タイランド』『かえるくん、東京を救う』の4編に、書き下ろしの『蜂蜜パイ』を加えた計6編の小説が掲載されている。
どの作品も「純文学」風で、一見とりとめもない話ばかりなのだが、話の場面場面の印象が強い話が多かった。特に、『神の子ども〜』で、2月の真夜中に東京の外れの野球場で突然踊りだす青年の話なのだが、神話を読んでいるような不思議な雰囲気の作品であった。また、『蜂蜜パイ』であるが、作家稼業には付いて回るのか、何とも言えない漠然とした不安が地震に絡めてうまく描かれていた。
『神の子どもたちはみな踊る』
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