高速を走りながら、ポッドキャストで JAPAN FM NETWORK(全国FM放送協議会)という全国のFM38局が共同して番組を制作しているところが配信している「ラジオ版 学問ノススメ」という対談番組をいくつか聴いた。
パーソナリティの蒲田健さんと、作家堤美果さんや山本一力さん、湊かなえさん、荒俣宏さん、筒井康隆さんたちとの番組を聴いたのだが、普段聴けない作家さんの社会観や人生観が興味深かった。そのなかで作家山本さんの「好きなものしか続かない」という言葉が印象的であった。健康のためのジョギングやダイエットのためのスポーツは目的は高尚でも長続きはしないという。純粋に好きなものを見つけだして続けていくことが大切だという話であった。様々苦労しながら50歳手前にして作家デビューした山本氏ならではの重みのある言葉であった。
蒲田さんの話の引き出し方が大変上手く、他にも参考になるような話がたくさんあった。
月別アーカイブ: 2013年8月
「忙しさとの競争」
ここ何日かに分けて車中で、ポッドキャストで配信しているTBSラジオ「文化系トークラジオ Life」の6月のテーマ「忙しさとの競争」を3時間分すべて聴いた。
近年、これまでの「働くこと」の忙しさとは別に、ビデオやSNSなどを「消費する」忙しさや、「乗換案内」などのアプリの普及に伴う隙間のない忙しさ、また、「投資した分だけ見返りがあるはずだ」という信仰のもとに繰り広げられる際限のない「育児」に伴う忙しさなどについて、若い社会学者たちが喧々囂々意見を交わしていた。
「スマホ中毒」という言葉が聞かれるほど、ここ2・3年、知人と「繋がる」ために若者の本来有り余っている時間がどんどん削られている。また、待ち合わせに早く来すぎたので喫茶店でコーヒーを一杯という「ゆとり」も、思い返せば「乗換案内」や「グーグルマップ」などの正確な「時間管理ソフト」によってなくなってきている。
番組を聞きながら、我が身の時間の使い方を反芻してみた。新聞をとっているにも関わらず、ネットのポータルサイトのニュースを延々と眺めていたり、ゲームこそしないが、スマホの料金設定や本体設定にずっとこだわってみたり、意味のない忙しさに振り回されている自分の生活が思い返される。
仕事や他人・社会・文化に関わる時間は削りたくないが、画面に向かったり、ネットのナビ機能であたふたしたりする時間は、くれぐれも「自制」していきたい。
パンフレット研究:聖マリアンナ医科大学
聖マリアンナ医科大学(2014年度版)を読む。
1970年代の新設医科大学開設ラッシュの最中、1971年に、民間病院が母体となり、川崎市の外れに「東洋医科大学」として開学された大学である。
正直、偏差値が私大医学部の最低ランクであったり、卒業生の女医タレントの発言を聞いたりしていたのであまりいい印象を持っていない大学であった。しかし、パンフレットを読むと、看護学部や理学療法などの学部を増やさず、大学病院と同じ敷地で6年間一貫教育を敷いており、落ち着いた雰囲気を感じる。また、最先端医療にこだわることなく、臨床医養成を基本としながら、付属病院と一体となって産婦人科や救命救急にも重きを置いている様子が伺われる。医学科しかない600人規模の小規模大学なのだが、23の体育会、6つの文化会のクラブ・サークルが紹介されている。
医師国家試験合格状況であるが、私立医学部の平均91.8%に比べ、10ポイント弱も低い83.3%に留まっている。
それにしても、近年学費を減額する私立医科大学が増えているが、聖マリアンナも4つも病院を経営しているので、学費を減じても良いのではないだろうか。
パンフレット研究:日本獣医生命科学大学
日本獣医生命科学大学(2014年度版)を読む。
聞いたことがない大学名だったので、近年新設された大学かと思いきや、5年前に校名を変更した旧日本獣医畜産大学であった。1881年に東京・小石川に開校した日本最初の私立獣医学校であり、1937年に当時東京の郊外であったJR武蔵境駅周辺にキャンパスを移している。戦後、学校法人「日本医科大学」と合併し、今年で創立132年を数える伝統大学である。現在では獣医学科と2005年に開設された獣医保健看護学科からなる獣医学部と、畜産学科から名称を変更した動物科学科、畜産食品工学科から名称変更した食品科学科からなる応用生命科学部の2学部で構成されている。
安定した人気を保っている大学のため、就職や資格、大学周辺の環境といった紹介はほとんどなく、4学科でのミッションや学びのポイント、カリキュラム、研究室の紹介が隙間なく埋められている。気楽に読み飛ばすようなページがなく、かなり読み応えのある内容であった。
4学科もあるが、やはり大学の中心は獣医学部獣医学科であり、2013年度入試では、推薦入試で3.7倍、センター試験利用入試では18.7倍、一般入試では16.5倍、学士入学でも10.0倍となっている。獣医学部というと動物病院の医者を育てるための大学だと捉えていたが、「生物多様性の保全」や鳥インフルエンザなどの感染菌、発達心理学の視点からの人と動物の相互作用など、その対象は動物というカテゴリーを大きく越えた内容となっている。
東京近郊には、日本獣医生命科学大学の他は、麻布大学と日大生物資源科学部獣医学科、北里大学の3つの私大しかなく、日本獣医生命科学大学の偏差値が一番高い。