日別アーカイブ: 2012年3月30日

『かげろうの日記・曠野』

堀辰雄『かげろうの日記・曠野』(新潮文庫 1955)を読む。
蜻蛉日記に題材を得た『かげろうの日記』と『ほととぎす』、また『更級日記』から着想を得た『姥捨』、メロドラマ仕立ての『曠野』の4編が収められている。

『かげろうの〜』は、そのまま蜻蛉日記の現代語訳といった雰囲気で、夫兼家との不仲や息子道綱への愛情がテーマとなっている。その中で、主人公道綱母が、夫兼家が居ない間に、兼家の自筆の手紙の入った硯箱を勝手に開け、他の女性へしたためた手紙を盗み見るシーンがあった。昔も今も本当に変わらないなと思い、興味深かった。