月別アーカイブ: 2010年1月

パンフレット研究:文教大学

昨年夏に開かれた高校教員対象説明会の際にもらったものを読み返してみた。
1927年の創設の立正女子職業学校を起源とし、1966年に越谷市に立正女子大学として発足し、現在に至る。越谷キャンパスに教育学部、人間科学部、文学部が置かれ、茅ヶ崎からバスで20分の不便な湘南キャンパスに情報学部、国際学部、そして2010年度から健康栄養学部が置かれる。

教員採用試験予備校的な側面が強い大学で、越谷キャンパスの学部だけでなく、湘南キャンパスの学部でも「情報」や「商業」の教員養成に力を注ぐ。特に首都圏では同大卒業の小中学校の教員は一大勢力である。

小学校免許が取得できる教育学部の入試倍率は軒並み6倍を超える。人間科学部が4倍、文学部は3倍だが、一方湘南の国際学部は2倍、情報学部では2倍を切ってしまう。

パンフレット研究:東京家政大学

「大学で何を学び卒業後どう生きるか」と題されており、女性に向いた資格と職業のブックレットのようなパンフレットで、読み物として楽しむことができた。
1881年創立の和洋裁縫伝習所を起源とする。1922年に東京女子専門学校となり、1949年に新制大学となって現在に至る。
児童学科、児童教育学科、栄養学科、環境教育学科、服飾美術学科、造形表現学科からなる家政学部と英語コミュニケーション学科、心理カウンセリング学科、教育福祉学科からなる人文学部の2学部と、保育科、栄養科、服飾美術科の3学科を置く短期大学部で構成されている。どの学科も資格取得に力を注いでいる。公立の保育園、幼稚園、小学校に就職するものも多く、大学のパンフレットにも教員採用試験の日程や対策が掲載されている。
団塊ジュニア急増期の1986年に文学部を設置し、狭山キャンパスを開学したが、2007年に隣接地を購入し板橋キャンパスに全て集約している。共立女子大学と同じく、都心回帰の流れに乗ったキャンパス再編で成功した例の一つであろう。

『竜馬伝』

福山雅治・香川照之が主演する、NHKの大河ドラマ『竜馬伝』を見た。
土佐藩出身の実業家岩崎弥太郎と維新の礎を築いた坂本竜馬の二人が主人公となっている。共に江戸時代の「上士と下士」のつまらない封建制度に抑圧され、心の中に個人的な恨み以上の世の中に対する強い反発を感じる。明治維新における若者のエネルギーは、江戸時代のつまらない身分制度のおかげで熟成されたのであろう。

パンフレット研究:大東文化大学

1923年創設の大東文化学院専門学校を母体とし、49年に東京文政大学として発足した伝統ある大学である。亜細亜大学や拓殖大学、国士舘大学などとよく似ており、日清・日露戦争以降のアジア侵略の人づくりを担った私塾が元になっている。

「キャンパスは交際交流の交流点」であるとし、アジア地域への留学といった国際国流がパンフレットの冒頭を飾っている。
1・2年生は広大なスポーツ施設を備えた東松山キャンパス、3・4年生が就職活動に便利な板橋キャンパスで学ぶ。そのためサークル活動も大学の強化指定を受けた運動部は東松山で、その他は板橋でという住み分けがなされているようだ。ラグビー、陸上、野球、柔道、スピードスケート、バスケットボールが強化指定を受けている。

学部は文学部、外国語学部、経済学部、経営学部、法学部、国際関係学部、環境創造学部、スポーツ・健康科学部の8学部19学科で構成されている。特に文学部書道学科は芸術という枠を越えて、日中共有の文化として位置づけている。そのため文学部日本文学科や中国学科でも学ぶことができるようになっている。
箱根駅伝やラグビーなどで、その名は全国区なのだが、入試倍率は苦戦しているようだ。外国語学部中国語学科でほぼ全入、法学部も2倍を切っている。

パンフレット研究:東洋大学

読むといっても、あまりの分厚さに閉口し眺めただけである。1887年井上円了が創設した哲学館が前身。1903年に哲学館大学となり、06年に東洋大学と改称し現在に至る。1970年代後半から朝霞キャンパスに教養部を移転したが、90年代になって文京区の白山キャンパス再編が上手く行き、文系学部が4年間白山で学ぶことができるようになってから人気は回復している。むーみんを大学のイ メージキャラクターにしたのも成功の要因か。

現在は、文学に始まり、経済学部、経営学部、法学部、社会学部、国際地域学部、生命科学部、ライフデザイン学部、理工学部、総合情報学部まで、理系から文系まで10学部44学科の陣容を誇る。医学部、薬学部以外の全ての学科がそろっているといっても過言ではない。

東洋大学の全体像は一言では言い表しにくい。しかし、白山キャンパスは、都心の総合大学では珍しく、2万人近い学生が同じキャンパスで4年間学ぶことができる。全国から集まってくる学生が同じキャンパスで学ぶ、その環境から生まれる「エネルギー」は、これまで読んだパンフレットに紹介されていた大学にはものである。

これまで1年半にわたり、200近くの大学・短大・専門学校のパンフレットを読んできた。(ここには記していないが職場でも読んでいるので相当の数に上る)その経験の中で感じたことは、2年間乃至4年間の青春時代を過ごす学生にとって、何を学ぶかという以上に、どこで学ぶか、そして誰と出会うかというのが大きな問題となる。

やはり大学は都会(東京一極集中では困るが)にあり、4年間同じキャンパスで文系から理系まで多くの学生がごった煮状態で過ごすことに意義があると考える。町外れ(地方という意味ではない)にある大学では、どうしても家と学校の往復になってしまう。またホテル並みのキレイな校舎を喧伝する大学も多数あったが、これとて万人に心地よいものではないだろう。
私自身、恥ずかしながら大学の教室では何も学んでいないに等しい。しかし、大学のキャンパス内で、サークル活動で、地下部室で多くの知人と出会い、様々なことを学ばせてもらった。

ふと、十数年前の学生時分に、とある編集者から声を掛けられて大学再編についての学生の目から見た文章を書いたことを思い出した。くそ暑い夏に大学のパンフレット類に首ったけになってワープロでしこしこと文章をまとめたっけ。書いた文章は、「変貌する大学」をご覧下さい。

家に大学のパンフレットや大学受験、学校選びについての資料があと少し残っている。何とか3度目の卒業生を送り出す今冬を使って読み切りたい。