つい先日子どもが妻の実家より戻ってきて、家族3人の奮闘が始まった。わずか4キロ弱の乳児のむずかる声に一日中振り回されている。。。眠い、ねむい、nemui iiiiiiiiii、、、iiiiiii iiiii、、、、、、、、 、、、、、、。。。。
香原志勢『手のうごきと脳のはたらき』(築地書館 1980)を読む。
埼玉県深谷市でさくら保育園を運営する斎藤公子さんの主催した市民大学での著者の講演がまとめられている。香原氏は人類学を専攻しており、カントの「手は外部の脳である」という言葉を引用しながら、生物の進化はイコール手の進化であり、猿は手を器用に使うことで他の哺乳類以上に環境への適応能力を高めたし、ヒトは猿以上に手を繊細に用いることができ、大きく文明を発展させてきたと述べる。そして、特に幼児期においては○×式の頭の訓練をするよりも、紐を結んだり、ナイフを用いたりするなど手指の訓練をすることが大切だという。斎藤氏は次のように述べ、幼児教育の基本を示している。いたずらな早期教育の罠に惑わされず、子どもの遊びを大切にしていきたいと思う。
子どもたちの「手」を使っての水遊び、砂・泥の遊び、粘土・紙を使っての遊び、絵を描く、木を切る、ひもを結ぶ、糸をあむ、糸で縫う、まりやボールで遊ぶ、木登りをするなどは、すべて昔から子どもたちに伝えられてきたものである。もちろん土運び、庭掃除、床のふき掃除、動物の飼育、畑づくりなどの労働も、ここ2、30年まえまでは多くの子どもたちにとって、毎日当然のこととして、させられていた家庭内労働でもある。こうした遊びや労働が、じゅうぶんに子どもたちに保証してやれるかどうかが、子どもたちを健全に発達させてやれるかどうか、につながってゆくのである。
(私たちの園の教育は)一貫して、人間の歴史が教えてくれている「労働が人間をつくった」という事実から学び、まず、「手」と「足」、「体」をつくることに専念している、といってよい毎日のつみかさねなのである。