日別アーカイブ: 2006年3月31日

『m2われらの時代に』

宮台真司・宮崎哲哉『m2われらの時代に』(朝日新聞社 2002)を読む。
月刊誌『サイゾー』に連載された対談がまとめられている。所々小難しい社会学の学説やら個別芸術作品の話が出てきて読み飛ばしてしまったが、両者とも二項対立的な右翼や左翼といった形式的なイデオロギーや社会観から物事を捉えることに一貫して異議を唱え、小林よしのりや「市民派」を気どる政治家を悪辣に批判する。
宮台氏は次のように述べ、過去の戦争に対する評価をいたずらに操作しようとする自由主義史観のグループや旧来の左翼の論理の欠陥を指摘する。

これから戦争を考えるときに必要なのは、戦争で死んだ人間を、生き残った人間や国家がどう評価しようが、「本人がなぜ戦ったのか」「生きてたらどうなったのか」とは全く関係のないことなのだという圧倒的な事実への敏感さです。近代国家は、大義に併せてそうした個人の時間性を利用し、動員して、戦争へと組み上げるのだから、戦争を肯定するにも否定するにも、そうした事実への想像力を働かせることが、倫理的に必要なことだと思います。

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