戦後60年ということで、戦争に関する本を1冊読んでみた。
名古屋国際高等学校教員グループ著『若者に伝える戦争の真実:人間と地球の未来のために』(かもがわ出版 1995)という本である。731部隊の元隊員の息子である神谷則明氏を中心としてまとめられ本である。しかし、「若者に〜」とある以上、高校生が手に取る本でもなく、読者対象がいまいちはっきりしないが、731部隊や南京大虐殺、従軍慰安婦、原爆、アウシュビッツ、天皇の戦争責任、教科書裁判など、10年経った今現在でもほとんど進展のない戦争を巡る事柄について分かりやすく問題提起している。アウシュビッツの項では、有名なマルチン・ニーメラーの言葉を引用しながら、常に問題の主体を読者に投げ掛けている姿勢は評価できる。学校のホームページを読む限りでは授業評価も公表されており、とても著書のような授業を繰り広げられる余裕はないと思うのだが、是非頑張ってほしい。
ナチスが共産主義者を弾圧した時 私は不安に駆られたが
自分は共産主義者でなかったので 何の行動も起こさなかった
その次 ナチスは社会主義者を弾圧した 私はさらに不安を感じたが
自分は社会主義者ではないので 何の抗議もしなかった
それからナチスは学生 新聞 ユダヤ人と 順次弾圧の輪を広げていき
そのたびに私の不安は増大した が それでも私は行動に出なかった
ある日ついにナチスは教会を弾圧してきた そして私は牧師だった
だから行動に立ち上がった が その時はすべてが あまりにも遅かった