長塚麻衣子『お母さんの手、だいすき!』(中央法規 2001)を読む。
著者の長塚さんは埼玉出身の人で、先月職場の人権教育の講師として来て頂き直接に話を伺う機会があった。長塚さんは生まれつき右手の指が3本欠けている「四肢末端減形成症」という障害を抱えている。実際に右手を見せていただいたのだが、人さし指と中指、薬指は全くなく、唯一残った親指と小指で物が挟める程度である。しかし、手首から上は「正常」で、日常生活にはほとんど支障はない。そのため、ちょっと長い袖の服を着れば、傍目には全く分からなくなってしまうという。『五体不満足』の乙武くんのように「障害者のエリート」という意識は彼女にはさらさらない。彼女曰く「健常者以上、障害者未満」という微妙な立場で、30代前半の者なら誰しも経験したような子どもの頃の遊びや学校生活のエピソードを綴っている。ある意味障害が社会の荒波を乗り越えていくための「武器」にはならない一人の「普通」人としての障害観が素直に描かれていてすんなりと読むことができた。
『お母さんの手、だいすき!』
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