平石貴久『勝つためのレシピ』(光文社新書 2001)を読む。
柏レイソルのチームドクターを務める著者による、栄養管理に関する入門書である。激しいスポーツに熱を傾けるアスリートこそ、科学的なデータに基づく綿密な栄養計画が大切だと述べる。人間の筋肉には無酸素運動を行い、8秒間持続する「ATP-CP系」と33秒持続する「乳酸系」の2種類と、またミトコンドリア内でエネルギーを作り出し続ける有酸素運動の「TCAサイクル系」の3種類のエンジンで構成されている。必要な栄養素も、摂取時期もそれぞれの筋肉よって異なるため、試合前日、当日、試合中、試合後の時間軸に沿った食事指導が求められる。さらに、エネルギーの供給と代謝に関わるビタミンB群と疲労の回復、免疫作用に関わるビタミンCの効果的な摂取と、そうした栄養指導の行き渡る環境の両面が大切であるという。つまり選手個人個人の意識改革と努力、そして選手を支えるコーチ、スタッフ間の連繋をもスポーツドクターの指導領域であるとしている。
選手一人一人の栄養指導による成長が分かりやすく述べられており、納得しやすい内容であった。
『勝つためのレシピ』
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