宗像誠也『教育と教育政策』(岩波新書 1961)を読む。
東大教育学部の教授として、教育は人間の尊厳を確立することという一貫した信念のもとで教育行政学を確立した作者の著書であり、現在でも教育行政学のテキストとして用いられている。教育における憲法たる教育基本法の精神が、その下位法規である学校教育法施行令規則に法的根拠を置く学習指導要領で歪められてしまっている当時の現状を緻密に分析を加えている。その中でとりわけ教師の教育権についての分析が興味深かった。
教師の教育権は、教師が真理の代理者たることにもとづく、というほかないと考える。真理の代理者とは、真理を伝えるもの、真理を子どもの心に根づかせ、生かし、真理創造の力を子どもにもたせるもの、というような意味である。