内田康夫『長崎殺人事件』(角川書店 1998)を読んだ。
ルポライター浅見光彦が活躍する初期の作品であるが、単なる推理小説ではなかった。先日書いたが、水戸黄門よろしく印籠的な権威をもつ刑事局長である兄の後光の元に活躍する浅見は勧善懲悪の紋切り型を好む日本人のイメージするヒーロー像にフィットするのであろう。
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『女たちが築いた生保王国』
堀江誠二著『女たちが築いた生保王国』(TBSブリタニカ)を読んだ。
1988年のバブル華やかりし頃の作品で、生保レディの苦行が刻々と綴られていた。生命保険というのはある意味人が元気に生きていく活力の「担保」のような商品である。その商品を売るために営業員が骨身を削って、家族を犠牲にしながら仕事にのめり込んでいくというのはまさに皮肉である。他社を蹴落とすためにあらゆる手段を講じてきた生保レディーは現在の日本版ビッグバン以降の生保業界の再編をどう見ているのだろうか。我々には伺い知れない複雑な思いを抱いているに違いない。これまでシェア争いを続けてきた業界の再編があらゆる場面で噴出している。生保・損保は言うまでもなく、証券・銀行・車・大学など旧財閥・学閥間の中で争いを演じてきた業界がここ数年合併・併合・提携を繰り返している。外から見ている限りでは「グローバルスタンダード」「規制緩和」「セイフティネット」等々の言葉を使って問題を見ることが出来る。しかし内部にいる人間はこれまで激しい営業合戦を続けてきたライバル社と合併するという事態に際したときどのような思いを持つのだろうか。
受験産業も同じである。これまで東大だ、京大だ、やれ早稲田だ、慶応だ、明治だ、日大だと偏差値という物差しで学歴信仰の社会が作られてきた。これが来年から東大と早稲田と慶応と明治と法政と日大と専修と帝京が合併して○○大学となります、なんてなったらそれらの大学の学生、卒業生は大混乱だろう。しかしその波はいよいよ近付きつつある。女子大、短大では既に始まっている。国立大学の提携も始まった。私立同士の単位互換制度も定着し始めた。そうした真の大学業界の再編が始まった時を見据えて、我々は何を感じ、何に着目し、何が出来るのか。
『浅見光彦殺人事件』〜徒然なるままに
内田康夫『浅見光彦殺人事件』を読んだ。
昨日の内閣不信任決議案については、「政治」の難しさを改めて感じた。身内の加藤派をまとめきれなかったのが、直接の原因であるが、他の議員の生活を不安にしてしまうにことに対して、加藤議員は優しすぎたのだろう。
本日の東京新聞に『三島由紀夫VS東大全共闘1969-2000』の簡単な書評が載っていた。『三島〜』の中で小阪修平の「全共闘的な空間からどういう形で、赤軍派から連赤につながる流れが出てくるのか」との発言があるのだが、さまざまな局面でこの問いは必要になってくるだろう。左翼から新左翼への流れは大体分かるが、連赤まではまだ分析がなされていない。
『孤立無縁の思想』
高橋和巳「孤立無縁の思想」(旺文社文庫)を図書館から借りてきて現在読んでいる。
民主主義の原則に従って、「生活実感のレベル」から生活をより良くしていくために直接行動に訴えていく彼のスタイルは、当時のノンセクトの学生から絶大な支持をあおいだ。しかし新潟の住民投票や、日の出のごみ処理施設の反対行動に代表されるような住民運動が息をふきかえしつつある今こそ読まれなければならないのではないか。
『松本』
松本人志『松本』を読んだ。
うっちゃんなんちゃんと組んだ「夢で会えたら」という番組が確か12年ほど前に放映されていたと記憶するが、それから10年以上お笑いのトップにいるというのはどうであれすごいことだ。
