読書」カテゴリーアーカイブ

『地震・プレート・陸と海』

深尾良夫『地震・プレート・陸と海- 地学入門』(岩波ジュニア新書 1985)を読む。
先日、大鹿村にある中央構造線博物館で、学芸員の方から断層について説明を聞いたばかりなので、考察を深めたいと思い手にとってみた。
素晴らしい良書に出会うことができた。陸と海の違いという「あれ?」という視点から地球の構造を説明し、地球全体の大陸プレートの動きから海や陸の形成を明らかにし、造山運動の力と火山や地震の関係について丁寧に解説している。「ジュニア新書」であるが、地球科学の入門書として大人も十二分に楽しめる内容となっている。読みながら久しぶりに、ゾクゾク、ワクワクするような好奇心を感じた。
以下の内容紹介そのままの内容である。やはり、地球はおもしろい。これまで読んできた本の中のベスト10に入る本となるであろう。

「陸と海はどうちがう?」「地球のふくらんでいるところが陸で、へこんでいるところが海」この答えは正しいのだろうか。大規模なプレート運動によって、海が拡がり、地震・火山・褶曲などの地震活動が起こっている。そのダイナミックなメカニズムを、分かりやすく解説。調べれば調べるほど地球は面白い。

『ケインズを学ぶ』

根井雅弘『ケインズを学ぶ』(講談社現代新書 1996)を読む。
経済学史でケインズの『一般論』のレポートを書くために手に取った。
ケインズといっても、新聞やテレビニュースレベルの知識では、不況期において政府主導の公共投資を拡充し、有効需要を増やすことで失業率を減らし、金融緩和を行うことでインフレに導くことを主張した経済学者ということぐらいしか知らなかった。

高校生向けの分かりやすい内容という触れ込みだが、読み込むのに苦労した。前半はある程度の世界史の知識が求められ、後半はケインズの「乗数理論」の説明に展開式が入ってくる。しかし、イギリスの政治に深くコミットし、第1次大戦、第2次大戦を通じて英国の外交交渉に携わり、経済学を一時代の一地域のみでしか通用しない「特殊」な「法則」から、どの時代のどの地域でも使える「一般」的な「科学」へと押し上げた功績を否定できる者はいない。ケインズ理論の詳細はよく分からないままであったが、彼の筋の通った生き方はよく伝わってきた。

著者の根井氏であるが、1962年生まれなので執筆当時34歳である。経歴検索すると、38歳で京都大学経済学部の教授となっている。世の中には天才がいるものだと感心すること一入であった。

『イタリア讃歌 手作り熟年の旅』

高田信也『イタリア讃歌 手作り熟年の旅』(文藝春秋 1995)を読む。
自治省に入り、財務局指導課長や島根県副知事、自治大学校副校長などを歴任した著者が、60代後半に入って始めた手作り海外旅行の旅行記である。夫婦でホテルや切符の手配をしながら、32日間にわたってミラノ、ヴェローナ、ヴェネツィア、フィレンチェ、ローマ、ナポリと回った体験がまとめられている。先日読んだ貧乏旅行記ではなく、熟年ならではの余裕で、3つ星以上のホテル生活を満喫しながら、美術館や博物館、土産物屋をじっくりと味わいながら逍遙する。
美術作品や食事の蘊蓄は読み流したが、パスポートを紛失したり、今夜泊まるホテルが見つからなかったりと、行き当たりばったりの個人旅行につきもののハプニングの方は面白かった。

『海外ブラックマップ』

嵐よういち『海外ブラックマップ』(彩図社 2006)を読む。
半分は勉強のつもりで、帝国書院の最新基本地図片手に、国の位置や統計データと合わせて読んだ。
旅行ジャーナリストの著者が実際に体験したマリファナやスリなどにまつわるエピソードがまとめられている。
いくら旅慣れていても関係なくヤラれてしまうヨハネスブルグ(南ア)や、キングストン(ジャマイカ)、ナイロビ(ケニア)から、旅の達人は問題ないが、旅慣れていない人はヤラれる確率が高い、デリー・コルカタ(インド)やボゴタ(コロンビア)、リマ(ペルー)など、殺人が日常茶飯事の都市から、警察が犯罪に絡んだり、タクシーやホテル内での犯罪などが横行する都市など、世界20の「ブラック」な都市が紹介されている。
著者は、昨日読んだ同じく旅行作家の丸山ゴンザレス氏と、旅行情報などを配信するネットラジオ「海外ブラックロードpodcast」を運営している。この本の中でも、下層住民が生活する地域を共に行動する話が出てくる。
ソファに寝転んで手元で世界の情報を見ることができる現在でも、小田実の「何でも見てやろう」の精神は連綿と続いているんだなとふと思った。

『アジア「罰当たり」旅行』

丸山ゴンザレス『アジア「罰当たり」旅行』(彩図社 2005)を読む。
現在、海外のブラック情報や犯罪に関する評論やテレビ出演なども行う著者のデビュー作である。
タイやカンボジア、南アフリカといった危険が付き纏う国で、極真空手の経験と20代の若さに任せ、ドラッグや売春に至るまで吸い尽くすハチャメチャ冒険記となっている。おしゃれな旅行パンフレットには決して載らない、現地のリアルな生活体験がよく伝わってきた。