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『伊勢志摩殺人事件』

内田康夫『伊勢志摩殺人事件』(中公文庫 2006)を読む。
1988年に刊行された本の文庫化である。
昨夏、伊勢を訪れる際に、南紀伊勢を舞台にした小説を数冊購入しており、そのうちの一冊が残っていたので手に取ったみた。
作者の脂が乗り切っていた頃の作品で、単に観光地名を冠しただけの小説ではなく、きちんと、志摩の実情や海女の内実を踏まえた展開となっている。「伊勢」とは何の脈絡もなかったが、タイトルにふさわしい内容であった。

ここしばらく体調が悪く、やるべきこともたまっているが、地図帳片手に推理小説を読むというのは、思いっきり現実生活を忘れることができる一番の特効薬である。
映画館に通わなくなってからというのも、静かに現実逃避する機会がなく、自分でも気づかないストレスが溜まっていたように思う。仕事や家庭、人間関係で疲れているからこそ、少し冷静になれる時間を大切にしていきたい。

何だか、文章も疲れている。

『究極の手帳術』

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仕事の教科書編集部『究極の手帳術:学研ムック仕事の教科書7』(学研パブリッシング 2014)を読む。
表紙にほぼ日の糸井重里氏の顔があったのと、鉛筆サイズの芯が入るシャープペンが付録で付いてきたので、珍しく新刊本を衝動買いした。
中身は手帳と文房具のカタログといった感じだが、糸井氏を始め、多くのビジネスマンや手帳編集者の愛用の手帳の中身が紹介されており、「成功者はここまでスケジュール管理するのか」と向上心をこちょこちょくすぐられた。

今年はほぼ日手帳を初めて購入したが、1日1ページというスタイルときっちり週単位で動く自身の仕事のスタイルが合わなくて、数ヶ月で使用を断念した。5月よりマンスリータイプの薄い手帳を買ったものの、これまたいかにも安っぽい作りと自身のスケジュール管理とマッチせず、無理無理使っている次第である。お陰で先月試験の日を間違えるという大失態に繋がってしまった。

来春より新しい人生のステージに向けての2歩目を踏み出していくので、スケジュール管理、タスク管理、ライフログ、目標達成の4つの側面を持つ手帳とうまく付き合っていきたい。

『城の崎にて』

志賀直哉短編集『城の崎にて』(角川文庫 1954)を少しだけ読む。
久しぶりに『城の崎にて』を扱うことになったので、教材研究として手に取ったみた。
表題作の他、『小僧の神様』や『清兵衞と瓢箪』など14作が収録されている。
ここ最近、気忙しい日々が続き、志賀直哉の淡々とした物語から主題を読み取るような余裕がなく、3、4作読んだだけとなってしまった。
文庫本の『城の崎にて』においては、教科書では割愛されている作者の近況が綴られており、小説というよりも趣深いエッセーといった風で、作者の飾らない姿がよく伝わってきた。

『平家伝説殺人事件』

内田康夫『平家伝説殺人事件』(飛天出版 1995)を読む。
先日読んだ『後鳥羽伝説殺人事件』に続く、浅見光彦が登場するシリーズの2作目である。
平家の落人が住みついたという伝説が残る、高知県四万十市西土佐藤ノ川地区を舞台にした不可解な連続殺人事件である。
帝国書院の地図やGoogleMAPを片手に、南国土佐の藤ノ川地区に思いを馳せながら読み進めていった。
浅見光彦の活躍よりも、桃源郷伝説を彷彿させるような隠れ里の集落の様子の方が印象に残った。
機会があれば訪れてみたい。

『後鳥羽伝説殺人事件』

内田康夫『後鳥羽伝説殺人事件』(角川文庫 1982)を読む。
内田氏の初期の作品で、名探偵浅見光彦のデビュー作である。
承久の乱の後、後鳥羽院が隠岐に護送される途中で妨害に逢うことも予想され、後鳥羽院の影武者を用意したという伝説をモチーフとしている。伝説によると、影武者の後鳥羽院は播磨、船坂峠を越えて、津山、美作を経て伯耆に渡ったのだが、本物は海路で安芸までやってきて、尾道あたりから北上し、御調、庄原を通り、高野町で一冬越してから仁多を経て松江に向かったらしい。
本作では、その本物の後鳥羽院が歩いたルート上で起きた連続殺人事件を、被害者の兄である浅見光彦が担当刑事と二人三脚で解決に向けて歩んでいく。
デビュー作とは思えないほど、人物設定も文体も完成されていた。
ソファーに寝そべりながら、中国地方の地図を片手に一気に読んでしまった。