内田康夫『後鳥羽伝説殺人事件』(角川文庫 1982)を読む。
内田氏の初期の作品で、名探偵浅見光彦のデビュー作である。
承久の乱の後、後鳥羽院が隠岐に護送される途中で妨害に逢うことも予想され、後鳥羽院の影武者を用意したという伝説をモチーフとしている。伝説によると、影武者の後鳥羽院は播磨、船坂峠を越えて、津山、美作を経て伯耆に渡ったのだが、本物は海路で安芸までやってきて、尾道あたりから北上し、御調、庄原を通り、高野町で一冬越してから仁多を経て松江に向かったらしい。
本作では、その本物の後鳥羽院が歩いたルート上で起きた連続殺人事件を、被害者の兄である浅見光彦が担当刑事と二人三脚で解決に向けて歩んでいく。
デビュー作とは思えないほど、人物設定も文体も完成されていた。
ソファーに寝そべりながら、中国地方の地図を片手に一気に読んでしまった。
『後鳥羽伝説殺人事件』
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