内田康夫『イーハトーブの幽霊』(中央公論社 1995)を読む。
宮沢賢治の生まれ故郷である岩手県花巻市を舞台にした連続殺人事件に、名探偵浅見光彦が挑む。
子どもが偶然見つけた万年筆が犯人特定の重要証拠となったり、たまたま犯人と声を交わしたりするなど、いつも通りの強引な展開であったが、400年の歴史を誇る花巻まつりや宮沢賢治など、その土地ならでは風物が織り込まれていて、旅文学として楽しく読むことができた。
仕事でもやもやを抱えていたが、花巻の風景を一緒に逍遥することができ、ちょっとした気晴らしとなった。
「読書」カテゴリーアーカイブ
『上昇思考』
長友佑都『上昇思考:幸せを感じるために大切なこと』(角川書店 2012)を読む。
セリエAのインテルナツィオナーレ・ミラノに在籍する、「世界一のサイドバック」である長友選手が、中学生高校生向けに、夢や努力、スポーツマンシップ、日本と海外の違いについて語る。
「メンタルコントロール」「ポジティブシンキング」「感謝の心」「出会い、運命、意志」「コミュニケーション」「夢を叶えるということ」の6章で構成され、一流のプレーヤーであると同時に一流の人間を目指している長友の思いがよく伝わってくる内容であった。
と同時に、読んでいるこちらがくやしくなるほど、長友選手の人間的な魅力や可能性に引き込まれてしまう。
『福祉を変える経営』
小倉昌男『福祉を変える経営:障害者の月給一万円からの脱出』(日経BP 2003)を読む。
10年ぐらい前、社会福祉士の試験を受けた時に購入し、ずっと本棚に眠っていた本である。
著者の小倉氏は「クロネコヤマトの宅急便」の開発で当時の運輸省や郵政省と闘った経験から「規制撤廃」の実行者として知られている。小倉氏は、1996年に会長を退任した後、私財を投じて立ち上げたヤマト福祉財団の理事長に専念し、無報酬で障害者の自立支援にあたってきた。残念ながらこの本が刊行された2年後に亡くなってしまったのだが、商売を成功に導くことで、障害者の地位や賃金を向上させ、引いては福祉全般を資本主義のルールで支えていこうという著者の思いがよく伝わって来る内容であった。
書き下ろしではなく、障害者施設の関係者向けのセミナーのレジュメを活字化したもので、同じような内容の言い回しが重複するところが散見されるが、具体的な事例の紹介であったので、すーっと読むことができた。
著者は、福祉のバザーでしか売れないような小物を作って、障害者の「居場所」を確保するだけの共同作業所や、「福祉的就労」と称して、障害者の能力を下に見て新聞の折り込みやボルト打ち付けなどの下請けの仕事しか扱わない施設のあり方に疑問をぶつける。
——いま、障害者に必要なのは、社会に出て健常者と肩を並べて仕事をし、自立できるだけの給料をとる仕組みをつくることではないか。それが真のノーマライゼーションだろう。ならばその手始めとして、障害者が集う共同作業所を改めて「仕事の場」と位置づけ、ちゃんとおカネが稼げるところにすべきではないだろうか。作業所の実態が、障害者のデイケアが目的、というのはいくらなんでもおかしい——。
今まで当たり前と思っていた現実を「自分の感覚」で捉え直し、ストレートに怒りをぶつけていくという小倉氏の姿勢は、経営者という枠組みに留まらず、どんな時代や分野、立場においても大切にしていきたいと思う。
『愚直に』
樋高剛『愚直に:復興・環境を軸として』(年友企画 2012)を読む。
地元の後援会に配布する目的で作られたのであろうか、震災当時民主党の環境大臣政務官として活躍された著者が、当時の民主党の綻びや敬愛する小沢一郎氏への思い、また、自らの政治活動の手腕とその実績を誇るという内容である。著者の樋高氏は、現在「生活の党と山本太郎となかまたち(笑)」党に所属しており、残念ながら落選の身である。
いわゆる自らを売り込むための「政治家本」なので、とやかく言うことはないが、著者が主導したという2011年5月施行の「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針」や2011年8月公布の「東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法」、2011年8月に成立した「放射性物質汚染対処特措法」などの成立の背景が整理できた。
これまで災害廃棄物は一般廃棄物とみなされ、市町村で処理を行うことされてきた。しかい、東日本大震災では市町村の行政機能が損なわれてしまったため、県に委託する形が多くの自治体でとられることになった。しかし岩手県と宮城県では県内での処理が困難なため、環境省が間に入り、県外で処理を行う「広域処理」計画が策定されることになった。また、福島県内の災害廃棄物については、8,000Bq/kgを超える「対策地域内廃棄物」に該当するため、県外での広域処理もできず、国による直轄の処理が適用されている。
また、「放射性物質汚染対処特措法」では、計画的避難区域に指定されていた地域は「汚染特別地域」に指定され、国が直轄で汚染を行うこととなった。除染除去土壌等は、中間貯蔵施設に搬入後30年以内に県外処分されることになっている。
現在、この中間貯蔵施設は原発のあった大熊町と双葉町に建設が予定されているが、「中間」のまま、移転先がなく「永久貯蔵施設」になってしまうことに懸念が示されている。また、この中間貯蔵施設に受け入れについても多額の交付金が動いており、地方に押し付ける構造は変わっていない。
『環境社会検定試験eco検定公式テキスト』
東京商工会議所編『環境社会検定試験eco検定公式テキスト:改訂5版』(日本能率協会マネジメントセンター 2015)を購入した。
今年の7月に「エコ検定」なる資格に挑戦しようと思い読み始めた。
8月の試験に向けて、地理学の勉強を始めたいのだが、分厚いテキストや参考書、問題集を読む時間も余裕もないので、手始めに環境全般を学んでみようと思う。
試験に受かることよりも、環境をキーワードに世界が繋がっている現実や、文系・理系を超えた取り組みなど、面白そうなテーマを見つけ、関連する本にあたっていきたい。また、合わせて検定のテキストでも触れられている原発関連の本も読んでいきたいと思う。
とりあえずは30冊読破を目標としたい。


