読書」カテゴリーアーカイブ

『バイシクル・ガール』

チャリジェンヌ『バイシクル・ガール:自転車でもっとキレイ! もっとハッピー!』(2010 PHP研究所)を読む。
自転車の選び方に始まり、自転車の種類や乗り方に始まり、ダイエット、ファッション、簡単な整備方法、交通ルール、輪行旅まで、自転車の魅力がコンパクトに紹介されている。
女性向けの入門書であるが、なかなかポイントが上手くまとまっている。

スポーツ自転車では「サドルは座るものではない」と思ってみてください。正しく走っている場合、体重のほとんどは常に脚にかかります。ペダルを漕いでいるときは両脚に、漕ぐのをやめて惰性で走るときは、下ろしている方の脚に体重の大半を乗せ、お尻は常にサドルに軽く乗っている程度に保ちます。
舗装の繋ぎ目などでは、さらにお尻を浮かせ、ショックを受けないようにします。しばらく乗っていると脚力も付いてきて、痛まなくなることが多いようです。
それでもお尻、とくに前の方が痛む場合は、姿勢のチェックを。腹筋がゆるんで背中が反ると、骨盤が前傾して前に荷重がかかってしまいます。お腹をパンチされたように、あるいはボールを抱えるように腹筋を引き締めることを心がけてみて。

さらに、対談の中で、チャリジェンヌメンバーの一人である絹代さんの「(自転車に乗ると、)旅が『伸縮自在』になる感じが本当にいいなぁって」という言葉が印象に残った。確かにゆっくりと街めぐりしたり、裏道を抜けたりと「伸縮自在」である。なかなか乙な表現である。

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チャリジェンヌ活動日記 | 女性のための自転車コンシェルジュ

『快感自転車塾』

長尾藤三『快感自転車塾:速くはなくともカッコよく疲れず楽しく走る法。』(五月書房 2008)を読む。
60歳後半になる著者が、速く走ることよりも長く走るコツ、苦しく走ることよりも楽しく走るコツについて語る。
自転車の乗り方のコツについて、写真やイラストではなく、言葉で語っている。これまでのどの本よりも一番分かりやすかった。

 骨盤は立てて上体は前傾させる。言葉で書くとたったこれだけのことが、キチンとできていない人が何年も乗っている人に結構います。ジテンシャの基本フォーム、つまりカッコイイ走りのペースなので、なんとしてもマスターしましょう。
 実はこれは上半身の力を全部抜いたスタイルなのです。一日中歩き疲れて、とにかくどこかに腰をおろしたい。近くに程よい切り株などみつけてドカッと座る。背中は曲がり、肩の力も抜けて腕の力も抜けてダラリと下がっている。この時のフォームにとても近い。これができない人なんていないはずです。緊張するから力が入るのです。すると腰がのび、肩が怒り、肘が上がり、グリップを握る手にも力がこもります。その反対に、まずハンドルをふわっと握り、肘を直角に近く曲げます。すると自然に肩が下がる。ついでに腰もガクッとおヘソのあたりから曲げて背中を丸めます。首だけは、うなだれないで上目気味に前を見てください。重心の位置が下がり、お尻とサドルの接点もずいぶん後に移動するはずです。
 (中略)このフォームがいいのは、全身の力が走るのに有効に使えることと、余分な筋肉の疲労がないこと。だから見た目がカッコイイと同時に、最も少ない力で疲れずに走れるフォームでもあるのです。上半身の力をうまく下半身に伝えられる姿勢と言ってもいいでしょう。(中略)
 力をいちばん抜いたようなフォームが、力をいちばん発揮できるというのは、武道の極意にも通じるようで面白いですよね。ボクのイメージとしては、柔らかい布をふわっとジテンシャの上にかけたような感じ。オートバイに乗る時も、スキーで滑る時も、いちばん楽にうまくいっている時には、共通してこのイメージです。うまくいかない時は、改めて意識的に1枚の布になるように心がけています。

『美しい国へ』

安倍晋三『美しい国へ』(文春新書 2006)を読む。
内閣総理大臣に就任する直前の内閣官房長官時代の著書である。ずいぶん本棚の肥やしとなっていたが、10年後の検証という意味を込めて手に取ってみた。
政治家が書く本なので、取り巻きのブレーンが執筆しているのであろうが、ことごとく当時良しとした政治の方向性がことごとく外れている。10年前に大絶賛していたイギリスの教育改革は最悪の結末を迎えているし、少子化は全く改善の余地がなく、日本とアジアの関係についても何ら進展がない。
安倍総理と日本会議のメンバーたちは、現状の分析は鋭いが、イデオロギーが前面に出すぎて冷静に将来を占う力には疑問符が付きまとう。

『異性』

角田光代・穂村弘『異性』(河出書房新社 2012)を読む。
2009年から2年間にわたってウェブマガジン上で掲載され、小説家角田光代さんと、歌人穂村弘氏の往復書簡という形で、男女の恋愛観の違いが綴られている。
自分が主人公の物語の中で、いつまでも変わらない愛の形を要求し続ける女性と、彼女だけでなくあらゆる趣味やものに没頭し、集め、並べることで自分を投影させようとする男性の違いが浮き彫りになっている。

『遺骨』

内田康夫『遺骨』(角川文庫 2001)を読む。
四国にある寺に父の遺骨を納骨したいと申し出た、ある薬品会社に勤める男が殺害され、骨壺の行方が分からなくなる場面から始まる。
実はその薬品会社が旧731部隊の幹部が設立した医薬品メーカー「ミドリ十字」を想起させるものであり、骨壷の中には、戦時中の強制労働連行により足尾鉱山で働いていた韓国・朝鮮人たちが、731部隊に実験材料とされた証拠が入っているという、なかなかの社会派ミステリーとなっている。
終戦後の大陸からの帰国時の混乱や、在日朝鮮人の帰還事業なども物語の背景となっており、歴史の闇を切り裂く意欲作である。
謎解きミステリーとしては、あまりにご都合主義的な展開が気になるが、読後感は良かった。