『快感自転車塾』

長尾藤三『快感自転車塾:速くはなくともカッコよく疲れず楽しく走る法。』(五月書房 2008)を読む。
60歳後半になる著者が、速く走ることよりも長く走るコツ、苦しく走ることよりも楽しく走るコツについて語る。
自転車の乗り方のコツについて、写真やイラストではなく、言葉で語っている。これまでのどの本よりも一番分かりやすかった。

 骨盤は立てて上体は前傾させる。言葉で書くとたったこれだけのことが、キチンとできていない人が何年も乗っている人に結構います。ジテンシャの基本フォーム、つまりカッコイイ走りのペースなので、なんとしてもマスターしましょう。
 実はこれは上半身の力を全部抜いたスタイルなのです。一日中歩き疲れて、とにかくどこかに腰をおろしたい。近くに程よい切り株などみつけてドカッと座る。背中は曲がり、肩の力も抜けて腕の力も抜けてダラリと下がっている。この時のフォームにとても近い。これができない人なんていないはずです。緊張するから力が入るのです。すると腰がのび、肩が怒り、肘が上がり、グリップを握る手にも力がこもります。その反対に、まずハンドルをふわっと握り、肘を直角に近く曲げます。すると自然に肩が下がる。ついでに腰もガクッとおヘソのあたりから曲げて背中を丸めます。首だけは、うなだれないで上目気味に前を見てください。重心の位置が下がり、お尻とサドルの接点もずいぶん後に移動するはずです。
 (中略)このフォームがいいのは、全身の力が走るのに有効に使えることと、余分な筋肉の疲労がないこと。だから見た目がカッコイイと同時に、最も少ない力で疲れずに走れるフォームでもあるのです。上半身の力をうまく下半身に伝えられる姿勢と言ってもいいでしょう。(中略)
 力をいちばん抜いたようなフォームが、力をいちばん発揮できるというのは、武道の極意にも通じるようで面白いですよね。ボクのイメージとしては、柔らかい布をふわっとジテンシャの上にかけたような感じ。オートバイに乗る時も、スキーで滑る時も、いちばん楽にうまくいっている時には、共通してこのイメージです。うまくいかない時は、改めて意識的に1枚の布になるように心がけています。

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