読書」カテゴリーアーカイブ

『白衣の謝肉祭』

山口香『白衣の謝肉祭』(廣済堂文庫 1996)を読む。
月刊紙「新風小説」に掲載された作品で、短編の読み切り小説集となっている。雑誌掲載の都合なのか、とことん男性に都合の良い展開だらけで、出会ってすぐに、女性の方が大胆に主人公の男性に惚れ込み、濡れ場のシーンに突入する内容が繰り返される。たまに読む分には良いが、同じような展開ばかりで飽きが来てしまった。

『ビブリア古書堂の事件手帖6』

三上延『ビブリア古書堂の事件手帖6:栞子さんと廻るさだめ』(メディアワークス文庫 2014)をパラパラと読む。
5巻までは、大輔くんの栞子さんへの片思い模様が面白かったのだが、6巻は1巻の内容を踏まえたものなのだが、内容をすっかり忘れていたので楽しむことが出来なかった。

 

『ビブリア古書堂の事件手帖5』

三上延『ビブリア古書堂の事件手帖5:栞子さんと繋がりの時』(メディアワークス文庫 2014)を読む。
先週後半から気持ちに余裕も出て来て話に入り込めた。栞子さんと五浦くんの片思いなのか両思いなのか分かりづらい「微妙」な関係が、結婚という言葉も出るほど「安定」した関係に進展してしまい、恋愛小説の部分では少し寂しさもあるが、ミステリーの部分はよく練られている。

『きみたちと現代』

宮田光雄『きみたちと現代』(岩波ジュニア新書 1980)を1ページだけ読む。
ここ数日の新型コロナウイルスの感染予防と非常事態宣言の対応で多忙というか気遣いで疲れている。酒量も増えており、読書に集中できない。

『北の街物語』

内田康夫『北の街物語』(中公文庫 2016)を読む。
2015年に刊行された本の文庫化である。「北の街」と題されているが、北海道ではなく、東京都北区が舞台となっている。

作者の内田氏は2018年に亡くなっているので、数多い浅見光彦シリーズでも、最晩年に近い作品となっている。話の展開も唐突で、冒頭の殺人事件の犯人が最後数ページになって初めて物語上に登場してしまう。「いったいこれまでの展開は何なんだ!」と突っ込みを入れずにはいられない内容となっている。作者のデビュー当時の切れ味は、残念ながらこの作品から微塵も感じることはできない。

大宮競輪場が物語に登場するのだが、その由来が興味深かった。
大宮競輪場の正式名称は「大宮公園陸上競技場兼双輪場」といい、1939年に完成している。そして、珍しいことに競輪用の急角度のバンクの内側に、400メートルの陸上競技用のトラックが併設されている。もともと大宮競輪場は、1940年の東京オリンピックのために作られた施設で、陸上競技トラックの外側に500メートルの自転車競技用のトラックがあり、1949年になってから外側トラックに傾斜をつけて競輪場となったという経緯を辿る。そのため、競輪が開催されていない時は、陸上競技場として利用されている。

ミステリーは面白くなかったが、このエピソードを知ることができただけでも読む価値はあった。