読書」カテゴリーアーカイブ

『絶望のなかのほほえみ』

後藤勝『絶望のなかのほほえみ:カンボジアのエイズ病棟から』(めこん 2005)を読む。
1960年代から継続的に内戦が続いていた、メコン川下流域のカンボジアは、90年代の内戦終了後、一気に自由化、経済化に突き進んでいった。その裏で売春や児童売買、エイズなども若者を中心に蔓延することとなった。そうしたカンボジアの闇を描いた写真集である。エイズ病棟で骨と皮の状態で亡くなっていく直前の若者の叶わなかった夢や思いが表現されている。

『最新 日本の地震地図』

岡田義光『最新 日本の地震地図』(東京書籍 2006)をパラパラと読む。
東京大学地震研究所を経て防災科学技術研究所理事長を務める著者が、全国津々浦々の海溝型地震、内陸型地震、プレート内地震の3つのタイプの地震が発生した箇所を構造的に説明している。

私たちが体感できる地震は年に30回程度なので、地震はたまに発生する自然現象というイメージが強い。そのため、地震予測も山勘的な印象が強い。しかし、地球の全表面積の0.07%に過ぎない日本で、世界の地震の10%が発生している。日本周辺で、マグニチュード2以上の地震は毎年1万回も発生している。継続的な測定により、地震が「いつ」発生するかまではアバウトな予想しかできないが、「どこで」発生するかは、かなり詳細に調べられていることが分かる。

『ピラミッド』

デビッド・マコーレイ作、鈴木八司訳『ピラミッド:巨大な王墓建設の謎を解く』(岩波書店 1979)をパラパラと読む。
子ども向けの絵本であるが、ピラミッド建設の妙が詳細に説明されていた。太陽の運行の記録から東西南北を調べたり、岩の表面全体に狭い溝を縦横に彫り、水を張って水準器がわりにしたり、下げ振り糸を用いて垂直を測ったりと、当時の科学技術の粋が凝らされていることが分かった。ナイル川の流れを使った石の運搬や死後の世界など、エジプト文明の面白さも垣間見えてきた。

『NHK海のシルクロード』

取材班編『NHKNHK海のシルクロード 第1巻 地中海・ナイル・紅海』(日本放送出版協会 1988)を眺める。1988年に刊行された本なので、シリアのアレッポや今は無くなった北イエメンの首都サナーなど、現在の写真が既に歴史的風景となっていた。