読書」カテゴリーアーカイブ

『たけしのグレートジャーニー』

ビートたけし『たけしのグレートジャーニー』(新潮社 2014)を読む。
2008年から2013にかけて雑誌「新潮45」に掲載された11人の学者との対談がまとめられている。冒頭は、アフリカで誕生した人類が南米のチリまで旅立っていった「グレートジャーニー」5万キロの行程を、10年弱の期間を使って自らの腕力と脚力と自分で操れる動物の力だけで遡行した冒険家の関野吉晴氏との対談である。ベーリング海峡を渡る際に風速5メートルから10メートルの偏西風に悩まされたため、「逆ルートは無理があります。やっぱり人類は逆ルートでは移動しないことが、やってみると分かります」とこぼしている。

その他、文化人類学者の西野雅之氏、植物探検家の荻巣樹德氏、ゴリラ研究家の山極寿一氏、シロアリ研究家の松浦健二氏、ウナギ研究家の塚本勝巳氏、辺境生物学者の長沼毅氏、海洋動物学者の佐藤克文氏、ダイオウイカ学者の窪寺恒己氏、奇抜なファッションを纏う火山学者の鎌田浩毅氏、宇宙物理学者の村山斉氏との対談が収められている。変人は東大と京大に多いということが分かる。鎌田氏の著作にはこれからじっくりと向き合っていきたい。

『エベレスト・ママさん』

田部井淳子『エベレスト・ママさん:山登り半生記』(山と渓谷社 2000)を読む。
1976年2月から11月まで雑誌『山と渓谷』に連載されたものである。著者の田部井さんは、1975年5月に女性で世界初の世界最高峰エベレスト8,848m(ネパール名:サガルマータ、チベット名:チョモランマ)登頂に成功した人で、その後1992年には、女性で世界初の七大陸最高峰登頂者となっている。

本書は登山途中の苦労だけでなく、仲間同士のギクシャクした関係や結婚・出産にまつわる悩みも赤裸々に綴られている。現在のようにzoomなどのネット会議での根回しもできないので、話一つ進めるにしても意見の対立や人間関係の亀裂を生み出してしまう。物事を進める側の苛立ちがはっきりと書かれていて興味を引いた。

『水車の四季』

文・室田武、写真・河野裕昭『水車の四季』(日本評論社 1983)をパラパラと読む。
刊行当時ですら、日本の風景から消えかけていた全国各地の水車の写真と解説である。解説を担当した室田氏は、京都大学理学部物理学科を卒業した変わり種の経済学者で、水車の仕事量の計算に着目している。水車の機能は様々で、ハブが回転する力を利用した製粉や稲の脱穀、籾摺りに活用されている。

後半は水車のエネルギーを活用した発電について詳細に説明している。日本独自の螺旋水車を活用した発電など、現在活用が進んでいる小水力発電とほぼ同じ議論が述べられている。著者の視点の鋭さに驚かされる。

『飛行のはなし』

加藤寛一郎『飛行のはなし:操縦に極意はあるか』(技法堂出版社 1986)をパラパラと読む。
東京大学で工学部航空学科の教授を務める著者が、飛行機が飛ぶ原理に始まり、引き起こしや宙返りなどの力学的解説、零戦の左捻り込みやブルーインパルスの変形インメルマンなど、かなりマニアックな内容について分かりやすく語る。あとがきの中で著者自身、微分方程式が登場する横書きではなく、言葉で説明する縦書きで書くことの難しさを吐露している。

『百姓をやりたい』

安達生恒『百姓をやりたい:新規就農ガイド』(三一新書 1994)を読む。
30年前の本で、農協(JA)や既存の農業体制から離れた、新規の就農者や新たな肥料の仕入れや販売ルートの開拓の道を進む若者の姿を追う。時代なのか、70年安保闘争で大学を辞め、島根県の山奥にある弥栄村で農業を始めた若者が農村の中核を担っている様子も報じられている。(三一書房ゆえの中核派?)