相澤善雄・井上征造編『世の中と地理』(古今書院 1996)を読む。
いわゆる「地名物産地理」を脱皮した地理教育の実践報告がまとめられている。著者の大半が都立高校の教員で、ゴミの行方やスポーツ、ジェンダー、都心の高齢化社会、テレビ、外国人労働者など、当時の社会問題に切り込んでいくツールとしての地理の可能性が論じられている。内容的にはあまり面白くなかったが、世界の政治・経済・民族問題、地球的規模の諸課題、国際理解や比較文化、日本が抱える課題のいずれも地理教育の領域と重なるという編者の定義付けは興味深かった。