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「イスラム抑圧、海南島でも」

本日の東京新聞朝刊に、「中国のハワイ」とも称され、国際的な観光地ともなっている海南島が特集されていた。海南島は北緯20°付近の熱帯モンスーン気候地域に位置し、ベトナムやフィリピンと同緯度にある。付近を暖流が流れ、太平洋側からの湿った季節風が吹くため、雨季の降水量が極めて多い。

習近平体制になってから、新疆ウイグル自治区や内モングル自治区、香港などで、急激に「中国化」がゴリ押しされている。記事によると、海南島でもイスラム教の少数民族(回族と呼ばれる)に対する宗教弾圧が強化されている。大切なのは、台湾問題や中印国境衝突、ミャンマー情勢も含めて、アジア地域における中国のプレゼンスをしっかりと見据えることである。

「スコットランド議会投票 独立支持政党過半数確保か」

本日の東京新聞朝刊より。
2年1組だったか、プレゼン発表でイギリスを取り上げたグループがありました。イギリスの正式名称やフィッシュアンドチップスについて説明してくれました。イギリスの正式な国名は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」といい、イングランド、ウェールズに、スコットランドと北アイルランドの連合国家です。しかし、この国名が変わる日が近いかもしれません。

その原因は今年1月のイギリスのEUからの離脱です。パスポートや関税が不要で、人やモノが自由に域内を移動することができる欧州連合(European Union)から正式に脱退しました。昨年末まで漁業権交渉や税関手続きで揉めていたのですが、ジョンソン首相の手腕で期限ギリギリに交渉がまとまりました。

しかし、その結果、これまでフランスなどの大陸の工場で作られていた食料品などの日常生活品を積んだトラックが、ドーバー海峡を渡って直接イギリスのスーパーに運ぶことができなくなってしまいました。またアイルランド島では陸続きにも関わらず、EUに加盟しているアイルランドとEUから離脱した北アイルランドとの間でモノの移動に関するルールが明確化されておりません。

そして、EUから離脱したイギリス内で、スコットランドと北アイルランドがイングランド支配からの独立の機運が高まっています。スコットランドは地図帳41ページを見れば分かりますが、東方沖の北海油田とパイプラインで結ばれており、独立すると油田からの利益もスコットランドのものとなります。北海油田周辺から天然ガスも採掘されており、スコットランドの財政を豊かにするであろうと言われています。

また、北アイルランドの独立問題は歴史的に根深いものがあります。カトリックとプロテスタントの宗教問題も絡んで、アイルランドとの統一を目指すIRA暫定派やシン・フェイン党とイギリス軍やイギリス政府との対立が100年以上も続いています。過激なテロ行為は沈静化しつつありますが、スコットランドと同じく、独立の議席がかつてないほど増加しています。

もしかすると数年後には、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国ではなく、「イングランド及びウェールズ連合王国」と「スコットランド共和国」、「アイルランド統一国家」の3つの国家になっているかもしれません。

「対立拍車 中豪」

4月中旬より体調のバランスを崩しておりました。少し心身とも休めたので、世界地理の補足ニュースのアップを再開します。

本日の東京新聞の記事より。
中国とオーストラリアが貿易をめぐって対立が継続しているとの内容である。オーストラリアは鉄鉱石や石炭といったエネルギー資源に恵まれている。
ちなみに統計によると2019年現在、鉄鉱石の埋蔵量は第1位がオーストラリアで230億トン、第2位がブラジルの150億トン、第3位がロシアの140億トン、第4で中国の69億トンとなっており、生産や輸出でもオーストラリアとブラジルが第1位と2位を占める。但し、鉄鉱石の輸入データを見ると、第1位が中国の1069百万トン、第2位が日本で120百万トン、第3位が韓国の75百万トンで、中国の輸入量が世界の7割ほどとなっている。
また、石炭も中国が生産と輸入で世界第1位となっている。世界生産量の55パーセントを占めているが、同じく世界全体の輸入量の2割を中国が占めている。

こうした数字をみると、中国がオーストラリアから輸入を制限されているという状況は極めて重い。3月にバイデン大統領が呼びかけた、「Quad(クアッド)」と呼ばれる「自由で開かれたインド太平洋」構想に関わる日米豪印4カ国の戦略的同盟が、中国包囲網を後押ししている。

この問題は、トランプ大統領時代に引き金が引かれた米中貿易問題が、オーストラリアへ飛び火したとみてよいだろう。そのうち、日中貿易や中印貿易にも影響を及ぼしていくだろう。バイデン大統領の「お節介な(民主党的な)」世界戦略に注目していきたい。