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「豪の源泉配備 支持6割」

本日の東京新聞の国際面の記事から。
つい見過ごしがちな記事である。オーストラリアが米英の原子力潜水艦を配備することに対する、オーストラリア新聞の世論調査の結果が報じられている。
もともとオーストラリアはフランスと共同で自前の原子力潜水艦の開発を進めていたが、それでは間に合わないので、米英製の原子力潜水艦を導入することになったということである。

いきなり原子力潜水艦と言われても、ピンとこない人が大半である。かくいう私もそうである。ネットの情報を調べたところ、原子力潜水艦は核分裂エネルギーを動力源とするため、大気と絶縁した長時間航行が可能で、燃料消費量がきわめて少なく、1回の燃料装入で数年間航行を維持しうる大出力を出せるとのことである。

こうした記事の背景に、米英による中国封じ込め政策を指摘しておきたい。「一体一路経済圏構想」を押し進める中国は、南シナ海やインド洋で覇権を握り、欧州やアフリカの市場を牛耳りたいとの思惑がある。一方、米国や英国、インド、日本の4カ国は、オーストラリアを巻き込んで、中国の拡大を抑えたいとの戦略がある。バイデン大統領が執拗に香港や台湾、新疆ウイグル自治区での人権問題を持ち出すのも、こうした戦略に沿ったものである。

しかし、オーストラリア国内には多くの中国籍の人たちがおり、中国との貿易がオーストラリア経済を支えてきたと言っても過言ではない。オーストラリアにとって中国を敵に回すということは、自国の経済基盤が崩されるということと同義である。

そうした背景を踏まえて考察していくと、オーストラリアの米英の原子力潜水艦の配備の是非は、オーストラリアの政治経済に大きな影響を及ぼす問題であるということが分かる。米英豪で作る安全保障の「AUKUS」が、オーストラリアの経済に致命的な打撃を与える決定打となるおそれもあるのだ。

3学期の授業の中で、オーストラリアを巡る諸事情について補足したい。

「ミャンマーで通貨暴落、経済混乱」

本日の東京新聞朝刊に、ミャンマーの経済混乱が報じられていた。
通貨チャットが暴落し、輸入価格が急騰し、エネルギーや家電などの輸入価格が2倍以上になっている。今年の半ばからワクチンウイルスの接種が進んでいるアメリカの経済回復に期待が集まり、ドルインデックスが上昇し、世界的にドル高が進んでいる。開発途上国の通貨安はミャンマーだけのことではないが、それでも資源の少ない国なので、生活苦は著しいであろう。
衣料品などの輸出産業が伸びれば良いが、工場を動かすエネルギーが高騰しては、それもままならないであろう。

「英、インド太平洋の新秩序視野」

本日の東京新聞夕刊に、EUを離脱した英国が、米国や豪州、日本、インドと中国包囲網の一角を担うとともに、インド太平洋地域の英連邦の諸国との関係を再構築し、新たな世界秩序を目論んでいるとの分析が掲載されていた。

英連邦は、19世紀のヴィクトリア女王の時代(パックス=ブリタニカ)に始まり、カナダやオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ

シンガポール、マレーシア、インド、スリランカ、モルディブ

「トルコ 息をひそめるアフガン難民」

本日の東京新聞夕刊に、アフガニスタンのタリバン政権から逃れ、イランを経てトルコに不法移入したアフガン難民が欧州を目の前にして足踏みしている状況が報じられていた。一度EU加盟国に入ってしまえば、パスポートを提示することなく、陸路で欧州各国を移動することができる。そのため、数年前のシリア難民も陸路でギリシャか海路でエーゲ海を渡り、働き口のあるドイツやフランス、イタリアを目指した。今回のアフガン難民も同様のルートを辿っており、ドイツ・メルメル退陣後のEUの寛容性が試されることとなる。

「シンガポール 水上に巨大な太陽光発電」

本日の東京新聞夕刊に、マレー半島の先端にあるシンガポールが、天然ガス発電一本化から太陽光発電の導入へ転換を図りつつあるとの記事が掲載されていた。他国のエネルギー事情にまであまり気が回らないが、国土の狭い日本にとっても参考となる事例である。