地理」カテゴリーアーカイブ

「強硬ポーランド EU法に『違憲』判断」

本日の東京新聞に、東欧の成長株であったポーランドが、EU法が国内法よりも優先するEU加盟の原則を否定する司法判断を下したとの記事が掲載されていた。ポーランドはEUの域内の人や物、金の移動の自由化の恩恵をたっぷりと受けている思っていた。2020年の一人当たりGDP は約13,640ユーロで、世界上位3分の1に入り、ハンガリーと同程度で、チェコに次いで安定した経済・社会環境を誇っている。

では、なぜポーランドがEUに反旗を翻したのであろうか。
私が勝手に考えた理由は地球温暖化である。2015年に開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)でパリ協定が採択され、EUは2030年までに温室効果ガスを1990年比で40%削減することを決定している。

しかし、ポーランドは国土の半分ほどが古期造山帯に位置しており、いまだに石炭火力発電が主流となっている。とてもじゃないが、EUが定めた削減目標の達成は困難である。目標未達成は国際義務違反となってしまう。そうした環境政策が影響しているのであろうか。
この説はあくまで個人的な見解です。

「リビア民主化なお遠く」

本日の東京新聞朝刊に、リビアの混乱が報じられていた。
リビアは今回の地理Aの中間考査の範囲でもあった。新期造山帯の「狭まる境界」付近に位置しているため原油が産出される。そして、資源国にありがちな社会主義による原由の国有化(私物化)を武器に、カダフィ大佐が独裁体制を敷いてきた国である。2011年にリビアの若者がTwitterでデモを呼びかけた「アラブの春」によって、カダフィ大佐が殺害され、リビアは民主化に移行したはずであった。しかし、記事を読むと、石油利権を巡って隣国が干渉するため、安定した政権いまだに発足していないようだ。
独裁政権崩壊後の民主化プロセスの成功例は、太平洋戦争後の日本以外あまり聞かない。それはなぜか、と書いていくときりがないのでこのへんで。

「ウィシュマさん命の記録」

本日の東京新聞夕刊記事より。
授業中に紹介した、名古屋入管の施設で収容中の3月に亡くなったスリランカ女性ウィシュマ・サンダマリさんの事件の続報である。入管施設で死の直前、彼女や支援者の申し出が無視され、その記録映像すら闇に葬られようとしている中、その記録が出版されるとのこと。

この事件はウィシュマさん個人の問題ではなく、日本の入管施設の問題、引いては日本の現状の移民・難民政策の是非が問われている。私はそう考える。

「混迷ハイチ 誘拐横行」

本日の東京新聞朝刊記事より。
「混迷」という熟語がこれほどしっくりくる国も珍しいであろう。自然災害に加え、政府機能の停止、経済の低迷、社会不安の増大と、問題点を挙げていくと切りがない。同じイスパニョーラ島のドミニカ共和国と比べると雲泥の差である。ドミニカ共和国はスペイン語圏であり、中南米諸国との関係も良好だが、ハイチは中米に珍しくフランス語を公用語の一つとしており、言葉の壁も存在する。また、ハイチは1804年に中南米で初めて独立した黒人国家であり、宗主国のフランスとの関係がしっくり行っていない。隣国のドミニカ共和国はハイチから独立した国であり、独立後もハイチから干渉が続いたため、二国間の関係は悪い。また、近隣のアメリカとの関係も薄く、積極的にハイチに支援を申し出る国がないのが現状である。

「中ロ、アフガン関与 欧米抜きで主導権」

本日の東京新聞朝刊に、中国やロシアがアフガニスタンを制したタリバンとの関係強化を表立って発表したとの記事が掲載されていた。
記事にある上海気条約機構とは、1996年に中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタンの5カ国でスタートした上海ファイブを前身とし、中ロと中央アジア諸国の旧共産圏の国々の経済や軍事の協力体制である。現在はウズベキスタン・インド・パキスタン・イランの4カ国を加え、ユーラシア大陸の3分の2、人口規模で30億人を超える世界最大の地域協力組織である。9カ国中4カ国が核保有国で、イランも核装備に前向きであり、世界最大の軍事協力組織でもある。

中央アジアは、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、アフガニスタンにトルクメニスタンを加えた6カ国である。このうち、トルクメニスタンは欧州のスイスのように、国連から「永世中立国」としての地位が認定され、他国と同盟関係を結んでいない。それ以外の5か国が中国やロシアの後ろ盾のもと、軍事協力を構築するというのは、政府側にとって美味しい話である。

アフガニスタンが国境を接しているイラン、パキスタンと経済協力関係を構築するという判断は、果たして良い結果を生むのであろうか。