地理」カテゴリーアーカイブ

「ロシアの飛び地 新たな火種」

本日の東京新聞朝刊にカリーニングラード州の話が出ていた。旧ソ連の崩壊とともに誕生したロシアのEU内の飛び地であり、面積は1万5000平方キロメートル、人口は95万人の小さな州である。気候区分はギリギリ西岸海洋性気候であり、1月の平均気温が-3度を下回っている年もあり、測定地点によっては亜寒帯湿潤気候に位置することもあろう。

めったに出てこない地名であり、改めて地図帳で確認してみるのもよいであろう。きな臭くなっているバルト海に面しており、EUにとっては喉に刺さった魚の骨のようなイライラさせる存在である。

「諏訪湖『釜穴』の仕組み解明」

本日の東京新聞朝刊に、諏訪湖の湖底から、数万年前に生成されたメタンガスが発生しているとの興味深い記事が掲載されていた。

少し難しい話をすると、諏訪湖は、松本盆地、諏訪盆地、伊那盆地などの、長野県を縦に走る糸魚川-静岡構造線を西縁とする大地溝帯(フォッサ・マグナ)のど真ん中に位置する。記事の下の図にあるように、太平洋プレートが西進によって形成される北米プレートとユーラシアプレートの狭まる境界と、中央構造線のずれる境界がちょうど交差する位置にある。

諏訪湖もアフリカ大地溝帯のタンガニーカ湖やロシアのバイカル湖のように、断層運動によって大地の窪みにできる地溝湖となっている。今回の記事も地溝湖ならではのスケールの大きい話である。諏訪湖を地図で調べても平均水深4.7m、最大水深7.4mとしか出てこない。しかし、記事では地下150mもの深さからメタンガスが放出されているという。

これと同じ話を、10年ほど前に長野県大鹿村にある中央構造線博物館を訪れた際に、もう引退された河本和朗学芸員が身体を使ってレクチャーを受けたことがある。手や腕を巧みに使って、中央構造線のずれと、諏訪湖の形成を説明されていたのを今でも記憶している。

私も河本氏の考えに従って、授業中はなるべくスクリーンの絵ではなく身体を用いて内的営力や外的営力を表現するように心がけている。授業を受けている高校生には、はしゃぐ中年男性としか映っていないかもしれないが。

「アフガン地震 救助難航」

本日の東京新聞夕刊に、アフガニスタン東部で発生した地震の模様が報じられていた。
地図帳でアフガニスタンの位置と今回の地震の発生地域、プレートの境界線の地図を並べてみたい。

言わんとするところは分かるであろう。アフガニスタンとパキスタンの国境沿いは、ヒマラヤ山脈を形成したユーラシアプレートとインド・オーストラリアプレートの境界に位置している。プレート同士が横にずれる境界であり、歪みが放出された時に、地中内部だけでなく、地表面も多きくずれることが多い。政府が機能していないアフガニスタンなので、最終的な死者・行方不明者はかなりの数に上るであろう。

日本にとっても、決して対岸の火事で済まされる災害ではない。現在国会は閉会中だが、難民の受け入れなど積極的な支援策を期待したい。

「全個体電池 開発に期待」

本日の東京新聞朝刊に、高効率ながら液漏れの危険もあるリチウムイオン電池を全て固体化し、大容量かつ安全に運用できる全個体電池の開発が進んでいるとの記事が掲載されていた。

太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及が進むが、その電力を貯めて蓄電池の普及が遅れている。電気自動車も性能や安全性は周知されつつあるが、リチウムイオンの蓄電池が高価格のため、値段と航続距離がゼロサムとなってしまう。

「絶滅動物復活なるか」

本日の東京新聞朝刊に、マンモス復活のプロジェクトを手掛ける近畿大の研究チームが紹介されていた。近年の地球温暖化の影響で、ツンドラ気候の永久凍土の中で数万年もの間氷漬けにされていたマンモスの死体がほぼ完全な形で発見されるようになった。骨だけでなく肉や皮膚組織までも壊されることなく発見され、解凍したところ細胞分裂の一歩手前まで蘇生したとのことである。今後万能細胞の活用が進めば、古代の恐竜や動物の復活も夢ではない。

それにしても、数万前の氷河時代の氷が溶け始めているという事実はきちんと受け止めておきたい。昨年の冬にもヒマラヤの氷河が崩壊し、下流のインド北部ウッタラカンド州では大洪水となっている。マンモスだけでなく、人類の健康に著しく影響を与える細菌や微生物などが復活することも考えられる。詳細は授業の中で補足したい。