地理」カテゴリーアーカイブ

「メキシコ制裁関税見送り」

本日の東京新聞朝刊に,トランプ大統領が予告していたメキシコからのすべての輸入品に対する追加関税を見送ったとの記事が掲載されていた。

人件費の安いメキシコにはゼネラル・モーターズなどの米国メーカーだけでなく,トヨタ,日産,ホンダ,マツダの4社も工場を置いている。そのうちの多くが米国に輸出されている。米国とカナダ,メキシコの3国は北米自由貿易協定(NAFTA)で,域内での部品を調達し,域内で組み立てた自動車は関税を免除するというルールがある。しかし,トランプ大統領就任後,その調達比率を巡って米国はNAFTAそのものの見直しを求めてきた。

不法移民対策をちらつかせながら,自動車だけでなく,バナナやアボカドなどの農産物を含めた全ての輸入品に関税を課すというのは,これまで積み上げてきた議論や合意を強引に崩すものである。

5月に日本史の授業の中でも取り上げたが,1941年11月の日米交渉で示されたハル・ノートを巡って,当時の日本政府は拙速に開戦へとなだれ込んで行った。盗聴によって交渉過程が米国にリードされていたとの意見もあるが,ここ最近のトランプ大統領の交渉過程は,軍事力を過信した戦前の日本政府の外交姿勢を彷彿させる。

「出生率1.42 3年連続減」

本日の東京新聞朝刊に,2018年の国内の合計特殊出生率1.42に関する記事が掲載されていた。2018年生まれの子どもは戦後最低の91万8397人となり,出生率こそやや下げ止まっているものの,人口減に歯止めがかかっていない。

別掲の解説記事の中で,「2人めの壁」についての指摘されている。住宅費や教育費の負担が大きく,2人めを諦めざるを得ない夫婦が多いという。

少子化対策に特効薬はなく,厚労省担当者のコメントにあるように「子どもを産みたい人が,安心して産み育てられるような施策を講じていく」という総花的なものにならざるを得ない。

2人めを諦める理由として住宅費が挙げられているように,少子化の原因の一つは首都への一極集中である。東京への過密化を減らそうと,首都圏の大学定員の厳格化が始まったが,混乱を来しただけであり,所期の目的とはかけ離れていることは受験生の熟知するところであろう。

「マンハッタン 海面上昇危機で沿岸埋め立て構想」

本日の東京新聞夕刊に,米ニューヨーク市のマンハッタン島が海面上昇により,日常的に水に浸かる可能性があり,延楽埋め立て構想が検討されているとの記事が掲載されていた。

ちょうど,本日の授業で環境難民としてモルディブやツバルが海面上昇により国土水没の危機に瀕しているとの内容があったばかりなので,新聞のタイトルが目に飛び込んできた。

今世紀末に海面上昇は2メートルを超えるとの可能性も指摘されており,日本も対岸の火事ならぬ”水事”ではない。日本は海面上昇だけでなく,現在でも津波や高潮の危険に晒されている。日本の最南端である沖ノ鳥島など2メートルも海面が上がってはひとたまりもないだろう。

「米,GAFA調査へ」

本日の東京新聞夕刊に,アメリカ政府と規制当局がそろってグーグル,アップル,フェイスブック,アマゾン・コムの4社を反トラスト法(独占禁止法)で対処を検討しているとの記事が掲載されていた。

反トラスト法とは,資本主義の根幹である自由競争そのものを阻害する独占資本の形成を規制するという法律である。昨年の授業でも扱いましたが,GAFAは多国籍企業で脱税の疑いもあり,米国だけの監視強化でなく,他国的な枠組みでの調査が求められる。

また,今回の反トラスト法であるが,日本では独占禁止法という法律で知られている。独占禁止法は内閣府の外局として置かれている公正取引委員会が運用するものである。
そもそも公正取引委員会が誕生したきっかけは,1945年10月にマッカーサーが幣原首相に口頭で伝えた五大改革の目玉である経済機構の改革が端緒となっている。三井や三菱,住友などの資本独占である財閥を解体する過程で設置されたものである。戦後の経済制度・労働改革はGHQ政策の要点となるので,日本史受験者は復習しておいてほしい。

「韓国,来年から人口減に」

本日の東京新聞夕刊より
地理Aでは韓国の地誌で人口問題について扱いました。また,地理Bでは人口のところで,つぼ型の少産多死の人口ピラミッドを扱ったばかりです。
韓国はソウルに人口が一極集中しており,深刻な住宅不足や生活環境の悪化を招いているという点は授業中に触れました。また,そうした都市問題が人口減少に繋がるという点もノートに書いてありますので確認しておいてください。

記事にもありますが,昨年の韓国の合計特殊出生率は0.98で,日本の数字をはるかに下回ります。保育園の拡充や幼児の医療費無償化を進めたものの,少子化に歯止めが掛かっていないという指摘は,日本も参考にしたいところである。首位都市の住環境の悪化が人口減少をもたらすという点については,地理Bの授業で考察を深めていきたい。